ペリリュー・沖縄戦記 (講談社学術文庫)

ペリリュー・沖縄戦記 (講談社学術文庫)

ペルリュー・沖縄戦記 ユージン・B・スレッジ
(ペルリュー)
P25:体得に苦労する座り撃ちは、実戦で一度も目にしたことがない。
P31:知ったかぶりの嘘つきは、いつもニューイングランドの出身。
P35:戦場から生還してから、趣味でやっていた狩猟を止める。
P44:「ジョー=ブラック・コーヒー」
P54:火炎放射器の重量30キロ、「僻地=ブーンドッグ」
P56:パンに混ざったコクゾウムシは、かまわず食べる。
P59:「やつら(ジャップ)ほど卑劣なクソ野郎どもはいない」
P69:(3)ガ島での情報将校フランク・ゲッチィ大佐の事件
P81:暑さを考えてズボン下は着用しなかった。
P88:ペルリュー以前の日本軍は、海兵隊の上陸部隊が海岸線に橋頭堡を確保してしまうと、バンザイ突撃を繰り返し、自滅するのが常だった。バンザイ突撃が成果をあげた例は一つも無い。
P90:(3)ペルリュー上陸前日、報道特派員に宛てた封書には島は4日で制圧と予測されていた。これを真に受けた36人の記者の多くは、島に上陸すらしなかった。島に留まって取材を続けたのは6人。
P116:砲撃は心を痛めつける。
P127:合言葉には、かならず日本人の苦手な「L」を使う単語を選ぶ。
P140:「南部の男=ヒルビリー
P144:歩兵にとって不潔は大きな悩み
P149:このとき著者の軍隊から支給される月給は60ドル。
P159:錯乱した海兵隊員を黙らせるため、塹壕用シャベルで殴り倒すが、その隊員は死ぬ。
P171:誰にも蛸壺を出ると声をかけない同僚を誤って殺す。
P190:日本兵の死体から捕った金歯、軍刀、拳銃は故郷の家族に送ったり。パイロットや水兵に高値で売りつける。・・・後方部隊の兵が記念品として拾っていくこともあった。−”生身の日本兵を見たこともないのに、後方の連中は国に帰ったら、身の毛のよだつ体験談の種にするんだろうよ”
P191:ある海兵隊員がまだ息のある日本兵の金歯を獲ろうとケイバー・ナイフの切っ先を歯茎に当てて、ナイフの柄を平手で叩いた。日本兵が脚をばたつかせて暴れたので、切っ先が歯に沿って滑り、口中深く突き刺さった。海兵隊員は罵声を浴びせ、左右の頬を耳元まで切り裂いた。日本兵の下顎を片足で押さえ、もう一度金歯を外そうとする。日本兵の口から血が溢れ、喉にからんだうめき声を上げて、のたうち回る。私は、「そいつを楽にしてやれよ」と叫んだ。が、返事の代わりに罵声が飛んできただけだった。別の海兵隊員が駆け寄ってきて、敵兵の頭に弾を一発撃ち込み、止めを刺した。最初の海兵隊員は何かつぶやいて、平然と戦利品外しの作業を続けた。
P196:自ら死体の金歯を獲ろうとしたところを「ドク・キャスウェル」が止めてくれた。
P198:重傷者を担架に乗せようとした瞬間にバラバラになった。
P206:日本の狙撃兵は担架手を狙う。
P216:白燐弾が太陽の熱で爆発するのを見た。
P225:同じ箇所を何度か出入りすると、特定の死体が目印のように見えてくる。
P226:作戦行動および戦闘中は個々人の責任で排泄物を処理する。
P231:木の株の多くに、機関銃の弾帯が掛けてある。
P233:日本兵は遺体の男根を切り離して、口に押し込んでいた。
P244:第一海兵師団の損害は戦死1252人、負傷5274人。ペルリュー島日本守備隊は全滅、死者は推定10900人、捕虜302人中兵士は7人、水兵12人、残りはアジア各地出身の労働者。
(沖縄)
P307:迫撃砲班長マックは日本兵死体のペニスの先を慎重に撃ち飛ばして遊ぶ。・・・マックは可能なかぎり日本兵の死骸を見つけては、死者の口の中に放尿する。
P327:日本軍は医療班に慈悲を示さない。
P355:ポンチョは纏わり着いて動きにくい。
P360:日本兵は走り出すと殆どがO脚に見えた。
P381:首里を前にしたハーフムーンでは、泥と豪雨の中、蛆虫と腐りゆく死体に囲まれている。・・・地獄の汚物の中に放り込まれたとしか思えなかった。
P390:「やめろよ! もういいじゃないか。あれだけやられてりゃ、絶対、助かりっこないさ」
P393:砲弾が炸裂すると、埋めてあった死体が顔を出したり、肉片が飛び散る。
P397:スナフ「仕留めた死体を自分で埋めるぐらいなら、今後、指揮所に向かうニップを見かけても、もう絶対に、止めたりしない」
P401:WW1の「塹壕足」はWW2では「浸浸足」
P403:あれほど帰国を望んでいた戦友が、海外戦線に再び志願する気持ちになる。
P412:口紅跡のある「レンジカード」を奪い合う二人。
P430:日本の糧食(乾パン?)は「犬用のビスケット」の味、ホタテの缶詰は美味。
P432:「ノー・ニッポン」、手の甲に刺青をした腹部に大きな傷を負った沖縄の老婆に殺してくれと懇願される。助けようと衛生兵を探している間に、別の海兵隊員が殺した。
P452:アイビーリーグの卒業生で、完璧な英語を喋る将校が投降してきた。
P462:フザケテ銃口を指で塞いだ奴が、銃弾未装填と錯覚した親友に頭を撃ち抜かれる。
P464:4月1日に共に沖縄に上陸したペルリュー経験者で健在なのは、26人。・・・米軍の損害総計は、死者・行方不明7613人、戦闘中負傷者31807人、神経を病んだ「戦闘外」の事故兵は合計26221人。
(訳者あとがき)
P469:海兵隊員の日記は禁止されている。
P476:著者は戦場から離れて帰還する船上で、戦争にあって最も苦しむのは、「他者の苦しみに共感する力」であり、そして「他者のために深く感じる者」だと悟った。
(追記)
海兵隊ブートキャンプの白兵戦訓練の際に、銃剣で教官自身を突けと命じられる。本気で突くと見事にかわされ逆に倒される。
・沖縄上陸初日、樹木の上から観測中に砲撃で死んだ日本兵2体が枝に引っかかっていた。一人は腹から腸をぶら下げている。風で枝がしなうと時計の振子のように腸が揺れた。ブーツを履いた片脚が綺麗にもげている。
軍刀の一撃をライフルで受けた際に指を一本失った海兵隊員は、自身の指を落とした相手の軍刀を手にして”これは俺が持って帰る”と叫んだ。
・目標地点を攻略した際に、「南軍旗」が揚がったことがある。南部出身者から喝采が挙がると、東部出身からは不満が出た。この情況を見た西部出身は困惑した。