麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか

麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか

麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか 岩田健太郎
P19:日本の若い女性の相当数は性器クラミジアを保持。
P25:飛沫感染と(結核、麻疹、水疱など、5マイクロメートル以下の飛沫核による)空気感染では対策法が異なる。空気感染の予防に使う「N95マスク」は飛沫の新型インフルエンザには不要。N95マスク結核や麻疹患者を診察・看護するときに短時間、着用する目的で作られたもので、日常生活で着用するものではない。
P30:ヒトパピローマ予防接種
P31:癌と癌の治療が感染症の原因になる。
P31:メタボ検診が患者の利益、医療費削減に寄与するかは、とても不透明。メタボが病気と認識すべきか議論の余地がある。
(風邪に抗生剤−医療のリスクが見えていない)
P37:抗生剤は風邪(ウイルス)には効かない。無闇に処方して体内で耐性菌ができると、細菌感染症など必要なときに効かなくなる。
P41:「三た論法」
P42:細菌が原因の風邪(風邪のように見える現象)もある。
P50:パチンコ業界の産業規模は日本の医療費全体に相当する。
自分が飲んでいる薬の名前が判らないのは、日本の患者だけ。
(世界標準から二十年遅れのワクチン行政)
P53:麻疹−日本:278000人、アメリカ:116人(2001年)・・・先進国は制圧されている麻疹で、日本は毎年十万人以上の患者が発生し、30から50人が死亡している。・・・日本人は諸外国で麻疹ウイルスを広げている。
P57:MMR混合ワクチンの副作用で無菌性髄膜炎が発症すると、定期接種から任意接種になる。・・・1990年代の厚生省は−「副作用を起こされると責任を取らされる。ワクチンの副作用よりも、その病気で死なれたほうがマシ」という発想。・・・2006年からはMRワクチン。
P58:2005年日本脳炎ワクチンを事実上禁止。
P62:麻疹や天然痘ワクチンは横綱クラスで全勝に近い。肺炎球菌やインフルエンザウイルスのワクチンは程々に勝つが連勝できない小結レベル・・・結核ワクチン=BCGは限られたケースでしか効かない平幕レベル以下で、3勝12敗程度。
P68:インフルエンザワクチンはシートベルト
P72:オランダでの予防接種は全て任意接種だが、接種率95%。
新型インフルエンザ対策は万全か)
P80:「パンデミックフルー」
P83:東南アジアの例−鳥インフルエンザで8割死亡がタミフル服用後58%に下がった。飲まないよりはマシ程度で、タミフル備蓄でインフルエンザ問題は消滅しない。
P84:新型インフルエンザに限らず麻疹や水疱瘡でも「軽症」なら来院せずに家で静養していた方が良い。
P86:1972年ボストン赤潮事件−ゴニオラクス−感染症対策で大切なのは「勇気」。日本の厚生省に足りないのも勇気。
(真剣味が足りないエイズ対策)
P96:HIVの「診療ガイドライン」は半年毎という異例の速さで改訂されている。
(薬は誰のものか)
P100:日本の薬の「添付文書」には間違いが少なくない。
日本の行政の特徴は間違っていても認めない、直さない。
P103:日本では、副作用を恐れて薬の量を少なめに記載する傾向がある。−副作用で死ねば原因は明らかだが、病気で死ねば必然と思われて問題にならない、という不作為の悪意がそこには潜んでいる。
感染症のプロが育たない)
P112:「病歴聴取」
(耐性菌とのいたちごっこ
P123:サルバルサ
P132:マクロライド耐性肺炎球菌−アメリカ20%、ドイツ10%、中南米15%、日本は80%で最悪。・・・ベルギーやオランダでは風邪やウイルス性の病気の場合は、抗生剤を医師に求めないようにテレビで宣伝している。
P138:「迅速溶連菌キット」
P142:日本では、「点滴用」のペニシリンGが未認可なので、「筋肉注射用」のペニシリンGを使うのを余儀なくされる。メトロニダゾールも点滴用が無い。
P144:偽膜性腸炎に対して経口バンコマイシンは一回服用に4千円、メトロダゾールなら40円以下だが、保険適用外になる。
P149:体重あたりの投与量が考慮されていない。
P152:「濃度依存性」のキノロンをわざわざ分割して投与する。
P182:「長野モデル」
P195:「薬の為に病気を作る」
P197:日本のメディアほど医療報道の質が低い国を著者は知らない。表層ばかり報道して、「何故」かが全く解らない。−「アメリカの新聞を読むと謎が解け、日本の新聞を読むと謎が深まる」
P199:耐性菌を出した病院は、細菌を培養して調べているから解るのであって、多くの病院では、耐性菌の有無すら調べていない。むしろ、最悪なのは「うちは耐性菌は全く在りません」という病院。・・・医療に取り組んでいれば、耐性菌は必ず出る。出ないとすれば、まともな医療を行なっていないか、調べていないかのどちらか。もし、警察が、「この国には犯罪者は一人もいない」と言ったら、その警察は機能していないのと同じこと。
P201:日本の記者は論文を読まずに医療記事を書く。
P213:日本の医者は、相手の理解度を確認しながら説明する訓練を受けていない。だから、一方通行の説明になりがち。