自閉症裁判―レッサーパンダ帽男の「罪と罰」

自閉症裁判―レッサーパンダ帽男の「罪と罰」

自閉症裁判
P105:(犯人の)男には「内なる他者の目」が欠けている。「人目」こそが「内なる他者の目」、これがあればこそ、隠れて行うのである。
P132:加害者への憎しみが消えていくような支援こそ、最上の被害者支援である。
P158:”この子たちは観念の世界を移動する代わりに実際に身体を移動させねばなりません。それが、この子たちの世界とのかかわり方、世界の享受の仕方なのです。”(『「こころ」の本質とは何か』ちくま新書
P176:タクシー運転手(70歳)の目撃証言では、背後からは刺してはいない。「初見では、アベックに見えた」
P204:男には自身の利益不利益を考えた「虚偽供述」は出来ない。
P223:非論理的思考や抽象的思考こそ、彼等、自閉症の障害者が最も苦手とすること。
”人としての「罪と罰」を求めればこそ、障害への理解が不可欠となるのであり、それなくして責任も贖罪も十全たるものとはならない・・・”
P229:日本の刑事手続きの基本的な問題は謝罪追求型の取調べである。・・・こうした非近代的体質こそが、「自白偏重」を生み冤罪の土壌となり、捜査技術が向上しない要因となっている。”
P240:年間新受刑者25000人中、IQ49以下は1000人以上(山本譲司『獄窓記』)。知的障害・発達障害者が犯す主な犯罪は詐欺と窃盗で約8割になる。詐欺罪の内訳は無銭飲食と無賃乗車、窃盗罪は置き引きと自転車盗。