幻想の古代史〈上〉

幻想の古代史〈上〉

幻想の古代史 上 ケネス・フィーダー
P11:18−本書では一貫して、単に人類の過去について何が正しくないかを知るだけでなく、何が正しいかをどのようにして知るか、ということを重視している。
(科学と疑似科学
P30:4ーロスアンゼルス動物園では2007年2月、三頭のキンシコウの活力を高めるために、風水コンサルタントに4500ドル払って新しい檻の設計に役立てた。
P46:六つの基本的な動機ー金銭、名声、民族意識、宗教、過去へのロマン、提唱者の心の不安定
P50:4−創造論の主張は200年前からあり、それを否定する見方も同じくらい前から提示されている。
P53:『懐疑論者の事典』楽工社 2008年
『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』2006年
P63:6−エベレストは地質学的な力を受けて、毎年僅かではあるが、高くなり続けている。
P64:17−物事を観察する訓練を受けていない人は、既に存在が知られている、生きた動物を確認するのもあまり得意ではない。1978年12月、ロッテルダムの動物園から逃げ出した一頭のレッサーパンダは、死んだのが明らかになった後も、オランダ中から生きたレッサーパンダの目撃証言が何百件と寄せられた。
P67:ウィークリー・ワールド・ニュース』は奇抜な掲載記事の正確性を問われたときに、編集者は「そうは言っても、我々は読者に娯楽を提供している。人々をいい気分にしているのだ」と答えた。
P68:8−エイリアンと猿人、奇妙な未開人、奇妙な人類学者、馬鹿げた研究
P72:一部の「デコンストラクショニスト」にとって、「歴史は歴史家の心の中にしか存在しない」ものであり、・・・
P81:「産褥熱」−イグナーツ・ゼンメルヴァイス−死体解剖後に分娩の介助に従事するのが、原因と気づく。
P96:4−比較的[貴重な]−機能的に優れ、入手が難しい−石は効率よく使われ、殆ど無駄が出ないのに対し、入手が容易で使いにくい石はそうではなかった。「ルーミスII遺跡では、貴重な石材ほど効率よく使用された」
P97:16−ア大陸が存在したと主張するなら誰でもできる。しかし、アトランティスの存在仮説を実際に証明するために考古学者が何を見つけなければならないかを厳密に提示するには、真に創造的な頭脳が必要なのだ。
P98:8−マイケル・シャーマー&アレックス・グロブマン『歴史の否定−ホロコーストはなかったというのは誰か、それはなぜか』
P100:8−アメリカの科学者3200人以上を対象とした調査では、研究と矛盾するデータを同僚に見せなかった6%、「正確な結果ではないという感触」から特定のデータや観察を無視した15.3%
疑似科学はなぜ科学ではないのか−そのウソを見抜く思考法』2009年
P114:11−竹岡俊樹
P118:4−セイレム魔女狩りの煽動役コットン・マザー、7−エイドリアン・メイヤー『最初の化石ハンター』
P124:8−シラキュース市民は発見から一週間後の10月23日、巨人から得られる利益の4分の3を受け取る条件で、ニューウェルに37000ドル(現在価値50万ドル)を支払った。
P128:1866年にアイオワ州にいる姉妹を訪ねたときに、この地域で伝道していたメソジストの牧師と(聖書の巨人について)激しく議論した。その晩ベッドの中で石の巨人を思いつく。
P131:16−マーク・トウェイン『幽霊』
P143:2−1634年トスカーナでクルツィオ・インギラミが発見した「スキャリス」
P146:12−フロリダ州ウィンドオ−バー遺跡の7000年以上前の水に浸かった状態で保存された脳。
(ピルトダウン事件)
P155:7−化石証拠からの「体の進化が先で、その後に脳が発達し、知能が高くなった」とする図式は多くの人が想像し期待するものとは逆のことだったので、多くの人は困惑していた。・・・まさにこのときピルトダウン人が発掘された。
P170:骨は地下水からフッ素を吸収する。埋まっていた期間に応じてフッ素の量も多くなる。ウッドワードはこの技術のことは知っていて、他の事例では何度も実際に測定していたのに、ピルトダウンの化石については適用を認めなかった。
P174:「サセックスの魔法使い」
P177:アルゼンチン先住民オナ族の頭蓋骨は例外
P186:9−科学者たちはカーディフの巨人には騙されなかった、ピルトダウン事件では藤村新一と同様、さほど出来の良くない偽物なのに、間違いないと信じ込んだ。
P196:5−ピルトダウン事件は、「客観的な」科学者でさえ、自分の予想や期待を満足させるデータがあるときに、データを懐疑的に見るとは期待できないことを示している。
アメリカを発見したのは誰か)
P198:9−「誰がアメリカを発見したか」ではなく、「間違いなく最初にアメリカに到達し定着したインディアンはどこから来たのか」は、新大陸に住民が居ると知った欧州の学者が直ぐに発した問いでもある。
P204:ホセ・デ・アコスタ『新大陸自然文化史』
P207:デヴィッド・L・クラーク−「特徴リストの比較を集団の移動の調査に利用できるのは、データの特定の要件が一致したときに限られる」・・・割礼はユダヤにもインカでも見られるが、そのことだけで二つの民族に繋がりがあるという証拠には必ずしもならない。
P212:ネイティブ・アメリカン創世神話は互いに相容れないもの多い。
P213:17−シャベル状切歯
P216:8−ケネウィック人は現代のネイティヴ・インディアンには似ていないが、骨格はアジア、特にアイヌポリネシアの先住民に近い。チュクチ・エスキモーとも似ている。
P231:18−グリーンランドは虚偽広告のはしり
P232:14−グリーンランド入植者の人骨を調べると、1300年代に彼等の食物が魚と海棲哺乳類が急に大きな割合を占めるようになる。
P249:10−ヴィンランド地図には二酸化チタン
P251:18−昔のスカンジナビア人は地図を作って航海に利用したりはしなかった。
P264:「アフリカ中心主義」
P265:6世紀から8世紀にかけて「アンカライト(隠者)」と呼ばれるアイルランドの聖職者が放浪し・・・
P270:17−インディアンの使う単語の多くは正しい発音がほとんど分かっていない。
P280:4−家畜の力を使って皮をなめす装置が、謎めいた神殿に変わってしまう。
P284:12−ニューイングランドで調査の行われた20万の試掘坑で、古代ウェールズ、中国、ケルト、アフリカ人、その他ネイティヴ・アメリカン以外の人々のものと判断でき、年代が相当古い人為物を、考古学者はただの一つも発見していない。
P287:ソリュートレ文化には船を使った証拠はない。
(マウンドビルダーをめぐる神話)
P298:18−マンドビルダー神話は詐欺によるものではなく、本当のデータをほぼ完全に−場合によっては喜んで−誤解したことから生じたのだった。
P301:「ニューアークの聖なる石」
P308:8−マウンドビルダー文化の起源について確かな洞察を示した最初の人物はトーマス・ジェファーソン、1784年に北アメリカ初の考古学的発掘を実施した。
P313:サイラス・トーマス
P315:エルナンド・デ・ソトの年代記作者「エルヴァスの紳士」は5000から6000人の住む大きな壁に囲まれた街に
P321:1−4−マカーティ師の上司に当る監督のチャールズ・ペティット・マキルヴェインが、既に1839年に、マウンドビルダーを聖書に結びつける人為物がそのうち発見されるだろうと予言していた。マッカーティは単に監督の予言を成就させる「証拠」を仕込んだに過ぎない。(ブラッド・レッパー&ジェフ・ギル)
P323:「ミシガンの遺物」
P325:ガルシラソ・デ・ラ・ヴェガ
P326:天然痘の蔓延でマウンドは放棄、人為物は全て「自然銅」で制作されている。
P328:15−無知とデータの選択的受容が生み出した。・・・この神話は「征服者たちにとっての慰め」だったのだ。

幻想の古代史〈下〉

幻想の古代史〈下〉

幻想の古代史 下 ケネス・フィーダー
(ロスト−失われた大陸)
P16:2−対話そのものが虚構だということに気づいていないのかもしれない。対話の大部分はソクラテスと弟子たちが交わす想像上の会話だ。・・・実際、アトランティスの話をするクリティアスは、プラトンの母方の曾祖父だった。
ティーブ・アレンの『ミーティング・オブ・マインズ』と同様のテクニックを使ってプラトンも読者に挑戦し、教え、楽しませたのだ。・・・対話紀元前421年のもので、このときプラトン7、8歳。
P19:クリティアスの祖父はアパトゥリア祭の集まりでこの「真実の話」をしたが、アパトゥリア祭はエイプリル・フールのようなもの。
P24:17−ソロンが、この物語を聞かされたというエジプトに、アトランティスの物語の記録は全くない。また、アテナイの歴史を記録した人々はアトランティスとの戦争に言及していない。
P25:2−ヘロドトスは、プラトンの100年前の人だが、アトランティスに一切言及していない。
P27:1−「対話編の中でプラトンの語る殆ど全ての寓話は、真実の話だと断った上で紹介される」
P32:2− ミノア文明が滅びたのはティラ島の噴火からおよそ300年後、紀元前1320年のこと。
P38:イグネイシャス・ダンリーは『偉大な暗号』でフランシス・ベーコンシェイクスピアの戯曲を全て書いたと主張。
P51:神智学のヘレナ・P・ブラヴァツキー
P52:14−エドガー・ケーシーのアトランティスにはPCやインターネットはない。
P56:デビルズ・ポストピル国定記念物
P60:1−プレートの境界で地中から物質が上昇してくるため、陸塊が海中に呑み込まれることはない。
(先史時代のE.T.−「古代の宇宙飛行士」幻想)
P65:2−「古代の宇宙飛行士」バブルはカール・セーガン論文掲載後5年後の1968年から
P67:3−インクのしみ仮説
P71:6−カボチャは1万年前栽培
P72:17−灯心に塩を付けておくと煙や煤を減らす効果
P74:10ーこの最後の点から、最も重要で重大な問題をはらんだ内容が演繹される−古代エジプトで電球に供給する電力を生み出していた証拠も発見されなければならない。
P75:6−その絵が何を表すか(宇宙船、宇宙人など)を説明するキャプションを読まないで考えれば、デニケンの主張とは食い違うはずだ。15−デニケンはパレンケの人為物の文化的な文脈を理解していない。
P77:15−パレンケの石棺をマヤ文化の文脈で認識するためには、マヤの宇宙観、文字、歴史に親しむ必要がある。デニケンはマヤの宗教について全くの無知だったらしく、だからこそ石棺の蓋に描かれた図柄について、根拠のない空想を広げることが出来た。
P91:2−「ミステリー・パーク」のテーマは「祖先は愚かだった」
P93:4−「火星の人面」撮影番号35A72は画素1つが43メートルの解像度
P97:図8・11−「スマイルマーク」、「ハート」、「カーミット
P100:1−欧州に関することになるとデニケンは寡黙になる。
P101:13−『神々の戦車?』は700万部売れた。
P105:PBS『ノヴァ』
(謎に包まれたエジプト)
P119:ヒエラコンポリス
ナルメル
P125:「階段ピラミッド」>「崩れピラミッド」>「屈折ピラミッド」>「赤ピラミッド」
P129:4−・・・科学において我々は、ある事柄を説明する仮説を提案し、その仮説が真であれば、同じく真でなければならない事柄を演繹し、演繹された含意を検証できるかどうかを決定するために更に研究を進める。ここに至ってようやく、我々は仮説が維持されたと言える。
P130:「トリノ王名表」ー958年年間に遡る。
P132:2−クフ王の石切り場からは275万立方メートルの石灰岩>ピラミッドの体積260万立方、「デイル・エル・メディナ」の建築家墓から測定用具一式の出土。
P135:15−ジャン・ピエール・ウーダン−内部に螺旋状の傾斜路が造られたことを示唆した。
P141:ツタンカーメンはアテンから→アメンに改宗
P145:6−「ツタンカーメンの呪い」のターゲットが死んだのは事件から平均24年後で、寿命は73歳。
P146:9−セミル・オスマナギッチの「ボスニアのピラミッド」は「700万年前の湖底の残存物」だが、地元では「ピラミッドの存在を信じることが、愛国主義と同義語になった」、懐疑的な疑問を投げかけた現地の考古学者は脅された。
P152:15−1993年「ウプアウト2」
(グッド・バイブレーションズー超能力者とダウザー)
P165:プリンストン工学変則研究所は2007年に閉鎖
P166:フレデリック・ブライ・ボンド
P172:13−・・・私が推測の手がかりにしたのは、いつも水の流れている川が近くにあること、西には大きく隆起した場所があって、たいてい西から吹いてくる風がいくらか遮られることだった。
P174:マーシャル・マッキュージック曰くサイキック考古学者は先史時代の文化を再構成するとき、「自分の生きている時代に捉われる傾向」がある。・・・自分の偏見、矛盾、誤りを全て抱えたまま、・・・「バイブレーション」は、通俗な本や新聞記事などのありふれた情報源からきていた。
P177:「水脈探知」は1568年に記録されてはいる。
P178:9−「プロトン磁力計」
P181:5−統計、15−「世界で移住者が定住した場所では、深い井戸を掘れば、必ず地下水に行き当たる」
P183:「地中探査レーダー」
P188:16−ニール・マーシャル
(古い宗教とニューエイジのビジョン)
P193:1−スコープスは罰金百ドルを言い渡されたが、裁判官の手続きミスで実際には罰金を払わなくて済んだ。
P194:11−キリスト教神学者の多くは創造論を、神学としても科学としてもお粗末なものと考えている。
P199:1−進化論を正しいと受け止めている一般人の割合アメリカ合衆国は34か国中33位でその下にはトルコ。
P209:1−スレイマン山の13000フィート、7−マーティン・ブリッジによると極地の氷と氷河が全部融けたとしても、13000フィート(3960M)まで海面が上昇することはない。
P214:17ージョージ・ジャマルが方舟の探索に力を借りた「アショリアン、ウラジミール・ソビッチスキー、そしてアリス・ブルス・ヒティアン(Allis Buls Hitian → All is bullshit)」
P223:聖典は単に、世界は神によって創られたと宣言することを望み、この真実を教えるために、執筆者の生きた時代に一般的だった宇宙観の言葉で表現する。・・・聖典は、天国がどのようにして作られたかではなく、どうすれば天国へ行けるかを教えている。(ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世
P231:2−複数の細長い布で包み
P233:15−「トリノの聖骸布」に対する最初期の言及は1353年、それまで歴史の中に言及されたことがない。
P234:10−アンリ・ド・ポワティエ司教は聖骸布の調査をし1359年に長大な報告書を教皇に送った。この報告書には手加減なしに、聖骸布は偽物でリレの教会に収入をもたらすために作られたと結論している。人を雇って病気や虚弱さを装わせ、聖骸布の前で癒される「奇跡」を演じさせたことも発覚した。・・・クレメンス七世は聖骸布は布に描かれた絵と宣下し、展示の条件を定めた。1)その前で蝋燭や香を点さないこと。2)儀杖兵を配置しない。3)展示期間中、次のように告げること「これは我等が主の遺体を包んだ本当の布ではなく、本物に似せた、あるいは本物を再現した絵である」
このような断りを入れたのにも拘わらず、聖骸布は巡礼や信奉者を引き寄せた。1453年には城館と交換される。
P240:18−「ヤコブの骨箱」は文字が捏造
P260:5−「自分はここにいた!」、R・デイル・ガスリーは欧州上部旧石器時代の30の遺跡から発見されている「手形」のサンプル201点を現代人の手形と比較し洞窟の壁の手形は13歳から16歳の若者らしいと結論した。
『先史時代のシャーマン−壁画のある洞窟におけるトランスと魔法』
P270:デヴィッド・ウェヴスターの「足を使った投票」
P286:15−・・・そこには何の謎もない。モニュメントを見て驚嘆するのは、我々の側に知性と時代についての自惚れがあるからに過ぎない。我々は4000年、5000年前を振り返るとき、原始的で自分たちのとは異質な人々の姿しか認めようとしない。・・・その結果、我々はそこに謎を読み込んでしまう。