これで古典がよくわかる (ちくま文庫)

これで古典がよくわかる (ちくま文庫)

これで古典がよくわかる 橋本治
P48:「書けない鉛筆による見えない文字(カタカナ)」−正倉院には「書けない鉛筆」が残されている。
P59:紀貫之土佐日記』が後の女流文学を産む。
P66:「和漢混淆文」は、鎌倉期に登場
P72:「作者が歌人で、主役が和歌」というのが『伊勢物語
P75:清少納言嫌いの代表格が紫式部、『紫式部日記
P76:身分の高い女性なら江戸期になっても「絶対に男に顔を見せない」、「まぐわう=目合う」→視線を合わせる
P78:男女に限らず、男同士でも和歌で「会話」した。平安時代の和歌が「言葉」と「感情」と同じだったのあ『古今和歌集』の紀貫之の序文で解る。
P79:平安期には和歌以外に感情を伝える手段はない。日本人が普通に「日本語の文章」で自分の感情を伝えられるようになった時、和歌は「生活必需品」から「教養」へと転落する。
P99:中国では『元禄御畳奉行の日記』は生まれない。
P98:「白髪三千丈」は「凄く悲しかった」ことを説明する文。
P100:随筆の最初は清少納言
P113:「簡単な文章」で「複雑な内容」を書かれたら「わからない」→『源氏物語
P122:「縁起」は漢文で書かれたので疑われなかった。−漢文でわざわざ嘘を書く人はいなかろうと思い「白髪三千丈」式の文章表現を疑わないのが、昔の教養人というもの。
P123:「漢文+カタカナでなければ本当らしくない」は日本の伝統。
P130:『方丈記』から『徒然草』までの百年は、「大の男がマンガを読むのを当然とするのに要する時間」
P132:平安期の貴族は「人事異動の記録」以外、殆ど残さない。「趣味と人事異動とお祭り」と「恋」だけで生きていたのが平安時代の貴族=国家公務員。
P138:江戸期以前の「男女別姓」は「父親の名前を受けた」男と女のカップ
P151:近代日本は、「平安時代の衣装を着て出てきた」
《大海の磯もとどろに寄する波 破れれて砕けて裂けて散るかも》
P204:出家するとそれまでの名前を音読みにするのが習慣。
P218:「硬直化した書き言葉の中に、生きている話し言葉をぶち込む」→『桃尻語訳枕草子
P232:「音便」
「行くベーか」「よかんべー」の方言は、古い時代の言葉がそのままその土地で残った「進化の袋小路」
P237:「たもお」と発音するのを「たまふ」と書くのが「歴史かな使い」で、「たまう」と書くのが「現代かな使い」。
谷崎潤一郎『新々訳源氏物語