つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?

つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?

つぎはぎだらけの脳と心 デイビッド・J・リンデン
P12:マックス・デルブラック「話をする時は、相手に知識は全く無く、知性は無限にあると思って話せ」
P20:小脳は「得られた感覚が予期したとおりのものか」知る上で重要な役割を果たす。→自分自身をくすぐっても反応しない。
P25:「盲視」は中脳の視覚システムだが、進化的に新しい脳の部位とは接続されていない。
P48:ニューロン毎に5000のシナプスとして、脳に1000億のニューロンなら500兆のシナプス
P62:「スパイク」の際に神経伝達物質が放出される確率は通常のシナプスで30%程度
P72:脳の形成に関わる遺伝子は、線虫は9000遺伝子で302のニューロン、人間は16000遺伝子で1000億のニューロン、仮に人間の「選択的スプライシング」が線虫の三倍だとしても、ニューロン当たりの遺伝子産物は、線虫の一億分の一。
P75:「貧しい家庭」という環境は遺伝子の影響を大きく上回る。
P76:脳における(育ちか氏かの)因果関係は「双方通行」
P80:転写因子とプロモーターの関係が、「育ち」か「氏」に影響を与える原因、つまり環境や行動(経験)が遺伝子(の発現)に影響しえる原因になっている。
P91:抗生物質やニキビの治療薬が胎児の脳の発達に大きく影響することも有る。
P96:聴覚系は活動しなければ、視覚系に領土を侵食(シナプスを生成)されてしまう。
P102:通常より極端に「貧しい」環境に一時的にでも置かれると、脳の回線の複雑さに減少が見られる。・・・言語の習得には、明らかな「臨界期」が存在する。
P107:脳の発達の初期段階では、殆どが遺伝子で決定される。この段階にも環境の影響はあるが、大部分は「消極的(=母体の栄養不良やストレス)」なものである。
4章 感覚と感情
P114:感覚性ホムンクルスで敏感な「生殖器」や「角膜」が思いのほか小さいのは、「物の形が判らない」から
P121:共感覚は200人に1人、女性や左利きに多い、作家、画家、音楽家、建築家の就業
P124:猛禽類は獲物の尿の痕跡に反射する紫外線が見える。
「輪郭強調」
P129:「クロノスタシス」、空白は後からきた情報で埋める。
P131:感情と結びつかない「純粋な知覚」と言えるものは、まず殆ど存在しない。
「カプクラ症候群」→両親を「替え玉」と思い込んだのは、「見て」も実感が湧かないからだが、「声」を聞くと感情が湧き上がった。
P135:「痛覚失象徴」→自分の受けている痛みについて正確に話すことが出切るのに、それを辛いとは思っていない。
5章 記憶と学習
P147:海馬損傷者は運動に関する記憶などが蓄えられるので、スポーツは練習すれば上達する。(練習したことは忘れるが)
P148:記憶障害者が保持できる記憶は、全て「非宣言的記憶(潜在記憶)」に分類できる。
P153:宣言的記憶を永続的に保持する専門部位は無さそうである。
記憶の「混乱」「暗示」「書き換え」
P185:ラットの海馬ニューロン中「錐体細胞」と呼ばれるものの30%は空間の記憶保持に使われる。
P204:視床下部のINAH3の大きさが男性は女性の2〜3倍
6章 愛とセックス
P222:オーガスムスには、球海綿体筋骨盤筋、外肛門括約筋、尿道の壁の筋肉などが関わる。女性の約40%が、どこかの時点での腺液の射出を経験している。・・・両者の違いは、主に中脳水道周囲灰白質の領域の活動が女性の方が強い点。
P230:「クラインフェルダー症候群」→「母系伝達」
P234:同性愛男性のINAH3の体積は平均すると非同性愛女性と同じ(非同性愛男性の33%〜50%)
7章 睡眠と夢
P251:「レム睡眠行動障害」、ノンレム時の「夢遊病」とは異なる。
P252:睡眠時間全体におけるレム睡眠の割合はカモノハシ60%、バンドウイルカは2%、ヒトは誕生時50%%、壮年25%、高齢15%、爬虫類・両生類にレム睡眠は見られない。
P260:レム睡眠を奪うことで定着が阻害されるのは「非宣言的記憶」・・・ラットの場合、訓練から4〜8時間以内にレム睡眠を取れないと、有効な成果が期待できない。
P266:概日リズムが変る程度は最大1日当り一時間位、5時間の時差なら約五日の時差ぼけ。
P268:コリン・ピッテンドリ「光の回避」→細胞分裂中に紫外線を浴びないため
P273:夢は(レム・ノンレムを問わず)睡眠のどの段階でも見る。
8章 脳と宗教
P296:「前向性健忘」の「作話」
P300:左脳の「物語作成機能」は睡眠中でもオフに出来ない?
9章 脳に知的な設計者はいない
P328:「連想瞼条件づけ」「下オリーブ」