リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

リスクにあなたは騙される「恐怖を操る論理」 ダン・ガードナー
P25:リスクは儲かる
P82:想像するのが容易であれば、「腹」の評価は上がる
P90:・・・「腹」は見ているが「頭」は眠っているのである。
P93:カナリア諸島ラ・パルマ島に亀裂があり、ここから巨大な塊が海洋に崩落すると北米と南米の東海岸を巨大津波が襲う。
P96:300メートル級小惑星の地球衝突する確立は毎年5万分の一、30メール級の隕石落下は今後100年で2.5分の一
P97:低頻度大規模災害への対処は「費用による」
P103:目新しさと馴染みの無さ−驚き−が他の何よりも関心を捉える
P108:「大惨事の、不本意な、不公平な」−「恐怖要因」
P116:意識は自分が全く知らないことを認めるのを嫌う。
「単純接触効果=馴染みは愛好きを生む」
P118:英国政府は、クリスマス休暇中に、住宅火災で死ぬ確率が50%上がると広報活動を行なっている。米国では、国土安全保障省次官が蝋燭によって起きる火事は「クリスマス休暇中4倍に増える」と警告した。
P121:ラドンによって米国と欧州連合で年に推定41000人が死亡している。
P122:赤身75%と脂身25%の牛肉
P128:「確率盲目」
「裕福である方が健康である」
P130:単に「事実を明るみに出す」ことによってリスクにまつわる不安を和らげることができると専門家が考えるのは、間違っている。・・・殆どの人は「頭」が介入して「腹」を修正するために必要な努力をすることに慣れていない。
第5章 数に関する話
P134:日本の娼婦がシリコンと豊胸を結びつけた最初の女性である。
P142:豊胸材についての疫学的研究は全く行なわれずに禁止された。・・・情熱と痛みは理性の代わりにはならないし、理性は証拠はないと言っていた。逸話はデータではない。・・・逸話は何も証明しない。
P144:一人の顔の見える人物を助ける為に訴える方が、困窮する多数の人に言及するよりずっと説得力がある。「大衆を見ても、決して私は行動を起こさないだろう・・・一人をみれば、私は行動を起こすだろう」マザー・テレサ
P146:比率が、単なる数より思考に強い影響を与える・・・150人の98%が助かると期待できると言われたときの方が、150人の命が助かると言われたときよりずっと強い支持が得られた。「150人の命の85%」が助かるでさえ、150人の命が助かるより大きな支持を得た。・・・私たちは、150人の命は感じない、しかし「比率」を感じることができる。従って、150人の「95%」が助かる方が、150人の命が助かるより説得力があると思う。
P147:「平均への回帰」→「批判は成績を上げ、賞賛は成績を下げる」
P150:バスケットボールの「ホット・ハンド」
P151:専門家が今年の洪水は「世紀の洪水」つまり、100年1回起きると予想されるほど大きかったと言うとき、「腹」は、同じ大きさの新たな洪水は何十年も起きないことを意味しているのだと受け取る。「頭」は少し努力すれば理解できるが、「腹」には理解できない。
P155:1994年6月シリコン豊胸材と結合組織の病気に関係は無かった。2006年6月ダウ・コーニング社9年間の破産状態から抜け出し・・・2006年11月、FDAはシリコン豊胸材を解禁した。
第6章 群れは危険を察知する
P168:「高い重要性」であるとき、同調する率は上昇した。・・・この条件下で、人は集団の見解に最も従い易く、そうすることが正しいと確信を抱く。
P170:・・・殆どの人は反証しようとはせず、逆のことをする。つまり、規則に合う例を探すことによって規則を確認しようとする。それは役に立たない戦略である。どれだけ多くの例が積みあがっても、正しいことを証明することはできない。
P172:心に強く抱いている見解に反する情報を処理するとき、中立的あるいは肯定的情報を処理するときとは「異なる脳の部分」を使っていた。確証バイアスは脳に実際に組み込まれているようなのだ。
P184:4つの世界観−個人主義者、平等主義者、階層主義者、共産社会主義者
第7章 恐怖株式会社
P191:タイコ・ファイヤー・セキュリティーは従業員9万人で年間売り上げ15億ドル、セキュリタスABの従業員23万人以上で30カ国で営業、グループ4セキュリティー110カ国に40万人の従業員がいる。
P200:ロトロネクス
P206:「・・・タバコ会社のコンサルタントが行なっていた研究報告していた結果は、情動の重要性の認識において認知心理学者や社会心理学者の多くの20年先を行なっていた。「腹」思考の概念と肯定的感情が結びついたイメージの重要性が基本的に良く理解されていた。」ポール・スロヴィック
・・・「科学者は「広告主や中古車のセールスマン」に追いつこうとしているだけだ。」エーモス・トヴェルスキー
P222:太陽光への暴露と皮膚癌=メラノーマ
P223:感染症の減少で車の衝突事故が子供の死因の上位に躍り出た。
P229:「可能性が非常に高い」=事実である確率「95%」、「可能性がある」は66%以上の意味で使われる。
P232:記者は記事の元になっている研究報告を読まない。プレスリリースが記事の根拠であり、研究報告ではない。
第8章 活字にするにふさわしい恐怖
P245:西ナイル熱ウィルスの死者は米国(3億人)で2001年までに18人、2003年に875人の米国人が食事中に植物を喉に詰まらせて死んでいる。
P246:「分母盲目」:分母が見えないと言うことは真のリスクが見えないことを意味する。
P248:メディアは日常的に総体リスクだけを読者に与える。そして、このことが極端な誤解を招くことがある。
P256:BBCニュースの「ニュース一件当たりの死者数」喫煙8571人、狂牛病0.33人
P259:2007年4月「アラバマ自由民兵団」
P264:「リスクが無いことを明らかにしている研究より、否定的な結果を出している研究の方をより強く信用する」
第9章 犯罪と認識
P281:米国で見知らぬ者に誘拐された14歳以下の子供は年間90人で90/5900万人=0.00015%、2003年にプールで溺れた14歳以下の子は285人で2.5倍、車の衝突事故死は2408人で26倍
P307:ウィリー・ホートンの犯罪に政治的価値を最初に見つけて、デュカキスに対して用いたのはアル・ゴア
P327:ロンドンの「巡回裁判」記録から1278年の殺人発生率は人口10万人当り15件、現在の11倍
P328:ローレンス・キーリー『文明化以前の戦い−平和な未開人という神話』
カラハリ砂漠のクン族の殺人発生率は1950年と1960年代の主要工業国の20倍から80倍
コッパー・イヌイットの15家族からなる孤立した集団が20世紀初頭に外部と接触したとき「成人男性の全て殺人に関与していた」
第10章 恐怖の化学
P333:「化学物質」の文化的再定義こそ、有機農産物を隙間産業から数十億規模の産業へと変貌させたものであり、「天然」のと言う言葉が、何を売るかに関係なく、企業のマーケティング担当者が好む形容詞になった。
P336:ジョアンナ・バーグ『恐怖−その文化史』
P338:カーソンは『沈黙の春』の中に喫煙に関することを一言も書かなかった。
P341:無数の植物が、昆虫やその他の捕食者に対する防御手段として発癌性化学物質を生産している。そのため、植物は天然の発癌物質に満ちている。・・・ブルース・エイムズ「一般人が口にする食事由来の殺虫剤のうち、99.99%は天然のものである・・・環境中の汚染物質により引き起こされると考えられている2%の癌の内、合成化学物質が原因となっているのは僅かな部分だけである可能性が高い。1%よりずっと小さい」
ガンの原因では喫煙、飲酒、食事、肥満、運動が65%
P347:ロイス・スワーキー・ゴールド「試験したものの半数は大量投与試験において発癌物質である・・・残留殺虫剤の場合、(体内で見つかる)量は発癌性試験で鼠に投与した量より10万倍か100万倍あるいはそれ以上少ない」
P364:調べられている天然の化学物質の中で、半数が癌を引き起こすと示されている。安全性が証明されるまで使用を禁止するという取り組みを化学物質に対して厳密に適用するとしたら、食べるものは殆ど残らないだろう。
P366:DDT耐性の蚊は1951年に登場している。
P367:キャス・サンスタイン「リスクを冒すのが嫌いと言われている多くの人は、特定のリスクを冒すのが嫌いなのであって、リスク全般を冒すのが嫌いなわけではない・・・人間と文化、国家は、しばしば、一つあるいは数個の社会的リスクを『顕著な』ものとして選び、他のリスクを無視する」
第11章 テロに脅えて
P380:テロが最も多かったのは1991年で、ソ連邦の崩壊後テロは減少する。
P387:一時期、オウム真理教生物兵器の研究者を20人、化学兵器の研究に80人を抱えていた。・・・最も恐れられているバイオテロ兵器の二つを用いて大量死をもたらす試みを合計9回行なったが、一人も殺せなかった。そういう訳でオウム真理教化学兵器神経ガスに重点を移した。
P402:左派では予防原則が尊重されている。
第12章 結論−今ほど良い時代は無い
P443:ロバート・フォーゲル「現在大学へ通う年齢の学生の半数が100歳まで生きる」
P452:「後知恵バイアス」−不確かさは歴史から除かれる。過去に起こったことを実際に知っているだけでなく、「起き易かった」と感じる。更に重要なのは、「予測可能」だったと考えることだ。要するに最初から知っていたと考える。