空気と戦争 (文春新書)

空気と戦争 (文春新書)

空気と戦争 猪瀬直樹
P7:過去の出来事についても、新聞や雑誌を信用するわけにはいかない。できるだけ日記など当事者が記した一次資料にあたる必要がある。
P15:山本夏彦昭和6年満州事変から敗戦までの15年間真っ暗だったというのは左翼の言いふらしたウソである。なるほど社会主義者とそのシンパは、特高に監視されて真っ暗だったろう。けれどもそれは一億国民のなかの千人か五千人である。満州事変はこれで好景気になると国民は期待し歓迎したのである。はたして軍需景気で失業者は激減した。真っ暗なのは昭和十九年第一回の空襲からの一年である」(『世は〆切』)
P18:『天ちゃん』に悪意はない。
一章 東條英機に怒鳴られた二十六歳の高橋中尉
P62:配給制になると需要は急増する。
P69:「泥棒せい、というわけだな・・・自分たちのやるべきことを疎かにしておいて、困ったからと人に泥棒を勧めにくる。いったい、日本の技術者は何をしておるのだ!」・・・東條は、人造石油の開発はドイツと同じように既に実績を上げている筈で、アメリカが石油を禁輸してもじたばたしなくてよい、と楽観的に信じていた。
二章 三十代の模擬内閣のシュミレーション
P101:「御前会議」は「政府・大本営連絡会議」の形式的承認儀式
三章 数字が勝手に歩き出す
P161:「・・・考えてみれば、石油のトータルな量だけで根拠を説明しているけど、中身はどのくらいが重油でどのくらいがガソリンなのかも詰めていない。・・・」
P162:「・・・悔恨というものは、もっと激しく渦巻いて消えないものなのである・・・」高橋健夫『油断の幻影』
四章 霞ヶ関との戦い

P170:数字を誤魔化すと国が滅びる、と僕は信じて疑わない。官僚機構は、虚実を巧みに使い分ける、知っている。局所的な「実」に拘泥しながらついに全体を見ない、全体が「虚」であっても責任をとらないのである。