思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

思考停止社会
P53:2008年5月ステンレス鋼管データ捏造の背景:水圧試験を全量→抜き取りになってからも、建前上は全量試験を行っていることになっていた。・・・実態前提にするのと、建前を前提にするのとではやることの方向が全く反対になる。
P68:2006年村上ファンドと2008年ブルドックソースの両判決が、日本の経済司法の貧困を内外に宣言し、内外の投資家から見放された。
P76:2008年6月13日東京地裁ライブドア支払訴訟の判決で、”虚偽記載の事実”の「公表」に関して、検察官による情報のリークを「認定」した。
(『検証「国策逮捕」経済検察はなぜ、いかに堀江・村上を葬ったのか』)
P79:2008年アーバン破綻は「不正の策略」であった可能性はあったが、刑事処罰なし、
P83:不起訴記録の不開示、判決書は当事者のみ入手可能、判決内容も判例集等の一部のもの以外は公開されない。
刑事事件の「確定記録閲覧」
P93:・・・裁判員制度には、経済司法の貧困から脱却するため、経済分野に関する刑事・民事に経済取引の専門知識や実務経験を持つ市民を参加させる方が合理的。
「公判前整理手続」
「部分判決」
P108:裁判員制度には、印象や感覚で死刑の適用を判断する「民衆裁判」のもっとも悪い面が表れる。
P126:従業員標準報酬月額引下げの遡及訂正は、すくなくと、事業主側の遺志に基づいて行われていた。・・・
「改ざん」されたとされる6.9万件中の内訳の大半は「事業者自身と事業主と生計を同一にする家族」の報酬月額の遡及訂正であり、社会保険庁職員が関与し、かつ従業員に不利益がおよぶ「従業員案件(本人が知らない)」は確認できない。この件では社会保険庁職員を非難する根拠はほとんど無い。
P144:国民年金不正免除は該当者を幅広く救済する改正法の趣旨に沿った行動で「悪事」とはいえない。
P155:一円資本の株式会社で代表者が厚生年金に高額の標準報酬で加入して、保険料を滞納しても、報酬月額に見合う年金受給権を得る。
P156:1986年の基礎年金制度の導入に尽力したのは、2008年11月に自宅襲撃で殺害された元厚生次官の山口剛彦。
P176:TBS「朝ズバッ」の不二家チョコレート再利用捏造と「無償広告」:TBSは捏造疑惑の訴及から逃げ切るために報道機関として資格を自ら否定する対応も厭わない。
同じ行政指導でも、最後まで白を切り通して、不二家フランチャイズ店の20%を閉店に追い込んだ「朝ズバッ」TBSは「指導」、納豆を褒めただけの「あるある」を自主調査した関西テレビには「警告」。
P191:日本には「法令」が社会の周辺部分にしか存在しない。問題解決は法令以外の手段で行われてきた。