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人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く

人は意外に合理的　ティム・ハーフォード
Ｐ４０：ラットにとってキニーネ水が「ギッフェン財」となる。
Ｐ４１：・・・進化の圧力は、意識的か、無意識下かであるかに関係なく、たいてい合理的に行動する生物を生み出す傾向を示している。・・・
Ｐ４４：・・・１９７８年から９３年にかけて少年法が相対的に寛容になると、少年による凶悪犯罪が成人による凶悪犯罪にくらべて劇的に増加した。
Ｐ７７：守旧派のポーカーのプロは強い手のときレイズしすぎていた。ゲーム理論が正しく、一流のプレイヤーが間違っていた。
Ｐ８１：「勝者の呪い」：あまりにも楽観的な入札者が少なくとも一人は現れる。
Ｐ９６：アルコールの価格が上がったときに飲酒量を一番減らすのは、アルコール依存症の者。・・・ニコチンパッチ／ガムの広告は１０代の非喫煙少年少女に喫煙を促している。
Ｐ９９：果物とチョコレートの選択：今直ならチョコレート、来週なら果物。
Ｐ１０４：大きな成功を収めたゲーム理論の大部分はシェリングの変種である。
Ｐ１１９：・・・たった一人の「売れ残り」女性が、全ての独身男性に最大限の選択肢を与え、ほかの全ての女性の交渉上の地位を突き崩す。・・・
Ｐ１２５：男性の給料が高い地域には多くの女性が、とりわけ若い女性が住んでいる。
Ｐ１２８：アフリカ系アメリカ人にシングル・マザーが多い訳：・・・未来の夫が投獄されていることによって、女性の交渉力が著しく低下している。
Ｐ１３１：出産を一年遅らせると、生涯所得が約一割増える。
Ｐ１３５：家庭は合理性の発祥の地
Ｐ１３９：無責離婚制度は離婚率に影響を及ぼさない。・・・離婚する人が増えるほど、再婚候補者は増える。
Ｐ１４４：誰も辞めたり、首にならない労働市場はうまく機能しない。
Ｐ１４５：分業は富を生み出すが、人生から多様性を奪ってしまいかねない。
Ｐ１５６：スーパーのレジ係の処理スピードが上がるのは、仕事の速い同僚が自分を見ているときだけ。
Ｐ１５８：セルゲイ・ブブカは世界記録を破るたびにボーナスとして現金を支給された。そのため、最高のジャンプではなく、それまでの世界記録を最小限の差で破るように動機付けされた。ブブカはたびたび世界記録を「１センチ」塗り替えている。
Ｐ１６５：「副社長の給与は副社長補佐の動機付けにはなるが、副社長自信の動機付けにはならない」
Ｐ１８０：大株主の存在は割り勘問題の解決に大いに役立つ。
Ｐ２００：建物の階数が一つ増すたびに、街路で強盗に遭ったり、車を盗まれるリスクは２．５ポイント高くなる。
Ｐ２２３：「合理的な人種差別」
Ｐ２２８：黒人の子供たちは、雇用市場が自分たちに冷淡であると知って、勉強しない。
Ｐ２３２：「白人の真似」：典型的な白人の生徒にとっては、一生懸命勉強しても、自分を取り巻く社会から抜け出す道は開かれない。高学歴者がつく仕事は、両親や拡大家族、同輩が押さえているからだ。しかし、アフリカ系アメリカ人が不利な境遇にあって、ゲットーに群れ集まり続けている限り、勉強する黒人生徒は、貧困、犯罪、スラム化、そして自分を取り巻く環境から抜け出す力を身に付けてゆく。・・・人は友人が脱出計画を練っているのを好ましく思わない。・・・脱出するという選択肢を選べば、信頼されなくなる。
Ｐ２６１：サービス産業が成長している一因は、明確なパラドックスの結果にある。生産性が改善して”いない産業”のほうがより多くの雇用を創出する傾向を示す。
Ｐ２７０：移民も都市の生産性を押し上げている。
Ｐ２７２：２００４年ニューオーリンズのある日の午後、市内で警官が７００発の空砲を連射したが、発砲があったと通報する電話は一本として無かった。
Ｐ２７３：・・・貧苦に喘ぐ都市はスキルの低い人々を引き寄せる。
Ｐ２７７：大都会の住民は無数にある家やオフィスを渡り歩くのに、世界で最もエネルギー効率の高い大量輸送手段＝エレベーターを使う。
Ｐ２７８：２００６年のテロ対策補助金は、ニューヨーク市民が２．７８ドル、農村地帯のワイオミングでは１４．８３ドル。・・・（多くの貧しい）ロンドン市民一人当たりが支払う税金は市民が受ける公共サービスよりも１７４０ポンド多い。農業主体のウェールズの平均的住民は、一人当たりの公的支出額が支払い税額を２８７０ポンド上回る。
Ｐ２８５：政治を変えたければ、賞金をロビー活動に投じるという意図をもって宝くじを買ったほうがよい。（Ｓ・ランズバーグ）
Ｐ２８６：アメリカ人の４１％は対外援助が連邦政府の二大支出項目の一つだと信じている。実際には、社会保障予算や防衛予算の５０分の一。
Ｐ２９５：自動車や鉄鋼など、参入コストが高く、長期見通しの悪い産業にいるのであれば、補助金を求めてキャンペーンを展開するのは合理的である。・・・同じ理由で農業もロビイスト達にとって魅力的な標的になる。・・・アメリカの農業セクターは選挙の度に約５０００万ドルの選挙活動資金を献金している。
Ｐ２９７：・・・豊かな国では農業が「補助金」の格好の標的になるという同じロジックが、貧しい農業経済では農業が「税金」の格好の標的となるというロジックになる。・・・少数派の要求が多数はの要求に優先する。
Ｐ２９８：アフリカ諸国の政府は農業委員会を通じて市況を操作し、多数のプレーヤーから利益を吸い上げ、それを政治的な影響力がはるかに強い小数の大きなプレーヤーに回した。・・・１９６０から７０年代アフリカの小作農は所得の半分を手放なさなければならなかった。小作農は野党を結成したが、アフリカ諸国の政府は一般大衆が組織化して政治力をもたないように、あらゆる手を尽くして妨害した。
Ｐ３０５：人は他人も同じように行動すると予想している場合にのみ、制度を合理的に擁護する。
Ｐ３０７：英国王室の独占交易の、最受益者は東インド会社。
Ｐ３０８：１６８８年、議会が債務の不履行を認めなくなったことで、突然、債務を返済するという約束に信頼性が生まれ、ウィリアムとメアリーは直に巨額の借り入れが出来るようになった。１６８８年に１００万ポンドだった債務は、その後９年間で１７００万ポンドに膨れ上がる。１６９０年始めに１４％だった金利は、１７００年までには６〜８%に低下し、その後も低下した。・・力が制限された結果、力が劇的に高まることになったのである。
Ｐ３１５：英国の１２１５年から１８００年の間、賃金が長期的に改善する傾向は一切認められない。経済が好況に沸いたときには、豊かな人が増えるのではなく、人の数が増えるという形でブームが現れた。
Ｐ３１７：産業革命は、天才の功績でも、企業家精神あふれる文化でもなく、イギリスの労働コストが高く、燃料が信じられない程に安かったから。
Ｐ３２５：マラリアが欧州からの移民の命を奪った結果、熱帯地域の経済成長を押しつぶすインセンティブが生まれる。ピギリム・ファーザーズは当初ガイアナを目的にしていたが、マラリア過を考慮してニューイングランドに変更する。・・安全な地域は豪州、カナダ、アメリカだった。
Ｐ３３０：ネアンデルタルは「分業」を欠けていたからホモ･サピエンスに駆逐されたか？：ネアンデルタルは男も女も子供もみな人類の男の様に行動し、トナカイやマストドンを狩った。