三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態

三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態

三葉虫の謎 「進化の目撃者」の驚くべき生態 リチャード・フォーティ
P65:三葉虫は化石生産工場、脱皮の殻。
P68:脊椎動物は肉が骨にぶら下がっている。柔らかい部分が外側にきている。
P80:脚は、自分で勝手に動く。
P86:体節は、体を丸めるときに互いに後ろへずれるように完璧に設計されている。
P97:クチクラに置き換わった金箔(=黄鉄鉱)
P98:エア研磨機
P101:ニューヨーク州オルドビス紀の頁岩を見ると、この時期の改定は酸素含有量が非常に低く、このような嫌気的環境下で細菌は硫黄を代謝に用いる。付属肢への鉄の沈積を促したのが無数の細菌の活動であった可能性はきわめて高い。
P103:オレヌス科の三葉虫は全て、鉄分の多い硫黄の泥の中という、わずかな酸素しかない生育環境で栄えた。
P104:二枚貝は細菌から栄養を直接吸収することが出来るが、細菌を「培養」する他の動物は、それらを食物として利用する。オレネウス科は硫黄細菌と共生的に暮らした知られるかぎりの最初の動物。・・・フンスリュック粘板岩(スレート)
P106:三葉虫は、個々の付属肢の特殊化を発達させることはなかった。相対的に特異化しない移動運動を獲得した。・・・幻想的な形状に進化したのは殻だった。
P112:キクロピゲ−両眼は体の前端部で事実上癒合して巨大な一つのヘッドライト。トリヌクレウスが海底を這っていたに対し、キクロピゲはその上を巡航していた。
イラエヌス−体を丸めて完全な球状になる。
P116:ラナ=ラテン語でカエル
P118:(三葉虫のような)小さな科学者の世界に属していると、ほとんど全員を知っている。
P123:節足動物は、脊椎動物とよりも軟体動物とより近い類縁にある可能性さえある。
P128:ヒトデおよびヒトにいたる系列と、三葉虫およびハエにいたる系列のはるか昔の共通祖先は、7億5000万年前から12億5000万年前のどこかの時期に生きていた。・・・おそらく一対に眼を持っていた。
P130:アイスランド・スパー(氷州石)、他の節足動物はレンズの材料にクチクラを用いているのに、三葉虫だけが光を伝達する手段としてカルサイトの透明性を利用した。
P134:真珠は化学的には三葉虫の瞬くことの無いレンズと同じで、炭酸カルシウムの別の形の現れ。
P137:ユーアン・クラークソンは三葉虫の多くは「側面」を見る方を選んでいたことを立証した。・・・横目で周囲を睨み、領空については意に介していないかった。
P140:脱皮が終わるたびにより多くのレンズが付け加えられた。・・・脱皮が順次起こる度に、これらのレンズは眼の本体に取り込まれていき、段階的な連鎖をなして下方に送られていく。
P141:脳はプリズムのパレットを持つ点描画家
P143:ファコプスの眼:現生の動物相には、」本当の意味で説得力のある相同物は存在しない。・・・ケン・タウはカメラのレンズの代替に(ファコプス科)三葉虫のレンズを使って、FBIビルの写真を撮った。
P146:リカルド・レヴィ・セッティとユーアン・クラークソンはファコプスの眼が「球面収差」の問題を解決していたのを発見する。・・・この部分(碗)のカルサイトに奇妙な変化が起こっていた。結晶構造の内部のカルシウム原子の一部が、それと最も近縁なマグネシウムに置き換えられていたのである。
P147:クリスチアン・ホイヘンスとルネ・デカルトの2人はレンズの球面収差の光学的な補正法をスケッチしており、三葉虫のものとほとんど同じように設計された補正用の「お碗」を提案していた。・・・S・J・グールド「三葉虫の眼は・・・複雑さと鋭敏さにおいて、後の時代の節足動物に先を越されたことは一度もない。・・・」
P150:インコンニウス(=眠ることが無い)・・・三葉虫は瞬きできない。
P152:オピペウテルはオルドビス紀の海を自由に泳ぎまわっていた。
P157:眼は簡単に放棄することができた。
P159:一度失った視覚はけっして再び獲得されることは無い。・・・眼の無い三葉虫は、ときには視覚を持つ仲間を数の上で凌駕していた。
P160:一部の三葉虫は「二重焦点レンズ」を持っていたとする論文がある。
P161:「バックグラウンド・レベルよりも統計的に有意な絶滅率の上昇」
P162:「三葉虫はかつて現在のカニやエビが占めている生態学的な役割を演じていた」というのは「イクチオザルルスがジュラ紀のネズミイルカ」と表現されてきたのと同じで、どちらのインチキ話も厳密には正しくない。
P164:軟らかい組織を上から(地質学的な言い方をすれば)支えるために動物が鉱物を利用しようと企てたのは、カンブリア紀初期の非常に短い期間である。
P169:オレノイデスには「ぜん虫」−捕食者と獲物は一緒にデビューする。
P180:三葉虫はいかなる甲殻類にも由来しない。甲殻類の子孫ではなく、遠い親戚。
P181:グレアム・バッド−バージェス頁岩から出た奇妙な小動物(ハルキゲニア等)の多くが「カギムシ類」であること示す。・・・重要なのは、共通にもつものであって、奇妙さについての主観的な判断ではないということ。もし、自然のシナリオの中に厚皮動物を位置づけようとするなら、象の鼻ではなく子宮に焦点を合わせるべき。
P184:カンブリア紀「爆発」は、一億年以上ものあいだ見えないところでリハーサルし続けていた登場人物たちの劇的な登場。
P189:サイモン・コンウェイ・モリスの怒りの根源はグールドへの妬みではなく、自身が過去に持っていた理解力に対する憤激。
P189:セロリス(南極の海底に棲む大型ワラジムシ類)
P212:エルンスト・マイヤ−「新種はしばしば個体群が地理的に隔離された結果として生成される」−隔離された集団は、母種とのあいだの遺伝子の流れを絶たれてしまう。
P214:ルドルフ・カイフマン
P226:サー・ジェイムス・スタッブルフィールドは(シュマルディアを使い)固体発生を通じて尾板の前端からの胸節の放出によって胸が成長することを証明した。
P229:オレネルス属は、種間の大きな相違と見えるものが実際には発生速度の変更の問題にすぎないことについての最も鮮やかな例証。
P233:オルドビス紀の終焉は、大氷河時代が南極(当時は北アフリカにあった)から始まった寒冷化が全世界を殆ど完全に覆い尽くしたときでもあった。
P234:ヒルナンティア動物群
P235:「寒冷型」、すなわち浮遊性の幼生を持たない。−絶滅した三葉虫の多くは幼生時代をプランクトン(浮遊生活者)として開けた海で過ごしたのが、とりわけ彼らを危うくした。
P237:とどめの一撃はフラスニアン=ファメニアン期
P240:三葉虫はバンという音と共にではなく、むしろメソメソと泣きながら終わりを迎えた。
J・B・S・ホールデン『ありうるべき世界』
P247:磁気の伏角と偏角
P252:エルカナ・ビリングス
P258:トーンクイスト海
P284:生殖器を見極めていないので雌雄の識別は不能。・・・1998年に頭の中央部が頭鞍の前で膨れていたのを認める。・・・現生の節足動物のこれに類似した膨らみは卵や幼生を運ぶ「育房」を果たしている。
P286:タイ南部のレストランでカブトガニ(リムルス)の蒸し焼き:卵を頭の領域に持っていた。嫌な匂いで、強烈な味。
P297:ダメセラに類縁の三葉虫は漢方の「燕石」になる。
P298:アリソン・R・パーマー
P301:氷河時代に関連した種類の堆積層のすぐそばで三葉虫は見つかる。・・三葉虫の時間は世界中で通用する。
P310:ジャック・デプラト事件、ハーバート・ワイルド
P318:ヨアヒム・バランデ