「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た

「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た

「心理テスト」はウソでした。 村上宣寛
(血液型人間学
P13:日本人献血者446万5349名中O型29%、A型39%、B型22%、AB型10%
P16:統計的検定:統計学では、ある命題を証明するためにそれと反対の命題をわざわざ立てて、それを数学的に否定する。この否定される命題を「帰無仮説」と言う。手続きの関係で、命題を肯定するより否定する方が易しいからである。
「カイ自乗検定」、「危険率」、「有為」、「有為水準」
カイ自乗値が「5%以下」なら滅多に観測されないので、当初立てた帰無仮説の方が間違っていると推論する。こういう結論を下して間違う確率は5%以下であるで、「危険率」が5%以下で統計的に「有為」であるという。
カイ自乗検定の欠点は、結果がサンプル数に左右されやすく、1000名程度の大集団で調査すると、有為になり易い。
P32:古川竹二『血液型による気質の研究』(心理学研究、1927年、612-634)−1933年の日本法医学会総会で、この吉川学説は正式に否定される。これを焼き直して大衆書を執筆し、血液型人間学として蘇らせたのが能美正比古である。
草野直樹血液型性格判断のウソ・ホント』(2001)
P38:ランダム・サンプリングであれば2〜300人で十分。
アイゼンクとナイアス『占星術−科学か迷信か?』(1986)
「知識による汚染」が無い調査対象者で、研究すべきである。→心理学の「実験者効果」
森本毅郎『TBS日曜ゴールデン特版』(1985)
P43:教育評論家の阿部進は血液型人間学の信者である。
P47:血液型でグループ分けしても、年齢、性別、居住地、社会階層の違いなどが統制されていないと、グループの差は血液型に起因するのか、その他に起因するのかは判らない。血液型研究で結果が一貫しないのはこのためである。
バーナム効果
P53:バーナム効果の原理:心理学者ミール
P54:誤謬率=妥当性、「基礎確率」:基礎確率の高い方の現象に焦点を当てたのがフォアの研究だった。誰でも当てはまるような一般的な性格記述を、自分だけに当てはまると看做してしまう現象。・・・基礎確率が高いから成功している様に見えるだけである。バーナム効果の別名がフォア効果、主観的妥当化効果、個人的妥当化効果、確証バイアス
P・T・バーナム「おめでたい奴はどんどん生まれてくる」
P57:1987年、ファーナムとスコーフィールド
「医学のバーナム効果」−毛髪診断
デブリーフィング」
P78:臨床心理家は倫理的な問題が山積みの心理テストを好んで使っているし、そのことに気づいてもいない。
ロールシャッハ
P89:ビルヒャー社の出来損ない図版が現在では標準図版として配布されている。
P112:正常者では「修正BRS得点」は必ず0点以上。
インクのシミが明らかにするのは、唯一、それらを解釈する検査官の秘められた世界である。これらの先生方は被験者よりも自分自身のことを多分多く語っている。(アナスティシ、1982)
P118:エクスナの研究には再現性が無い。
・・・一致率は信頼性係数ではない。検査者Aと検査者Bの相関係数を計算すべきだった。一致率が0.9でも相関係数が0.05になることがある。言い換えれば、こんな初歩的な統計学もエクスナは知らなかったということだ。
P122:信頼性係数の意味:信頼性係数=真の得点の分散÷測定値の得点の分散
・・・一般的には信頼性係数は0.80以上が望ましい。
P129:ロールシャッハ・テストは、エクスナの基準データを使うと、大部分の正常者は精神障害と診断される。一方、アードバーグとシェイファーの基準データを使うと、大部分の精神障害者は正常者と診断される。・・・臨床現場で被検査者に神経症や精神病と診断すれば、当る確率は高い。ロールシャッハ・テストはバーナム効果に過ぎない。
抑うつ指標DEPIの妥当性の根拠は殆どないことは確かである。
P135:ロールシャッハ・テスト実施から解釈まで平均4時間(最低2時間、最高9時間)が必要な非常に効率の悪いテストである。
 知能の推定ならウェクスラ式知能検査の簡易実施法なら10分もあれば、かなりの正しさで知能の推定ができる。統合失調症の診断にはMMPIやMINIなどで20分前後で診断は正確だ。抑うつ症状ならベック抑うつ質問票がある。ロールシャッハに出番はない。
「日本ロールシャッハ学会」や「包括システムによる日本ローリシャッハ学会」
(矢田部ギルフォード性格検査)
辻岡美延、本間寛
「内包的妥当性」「基準関連妥当性」
P155:教員採用試験や就職試験でYGが使われると受検者の大部分が「D型=指導者タイプ」になる。・・・YGを理解している人なら採用試験にYGを決して使わない。人事担当者の理解は初心者と変わらない証拠。
P158:”パワーポイントなどは使わない。証拠隠滅型電気紙芝居は嫌いだ。
キレル大村政男”いつの間にか、(YGの)検査項目が3問、入れ替わっています!”
P164:統計的に有為だから妥当性が高いか?:
P170:YGの信頼性係数は高くは無い。実施する度に結果が違うという実感は正しい。
「特性論」
P172:YGの12の性格特性は幻想に過ぎなかった。
「ビッグ・ファイブ仮説」
P175:YGの流行を横目で眺め、ターゲットを学校教育に絞り、素早く、安直に作成したのがMGである。肝心の作成方法は非常に貧弱である。
YGやMGを使っている人を見たら、密かに軽蔑の眼差しを向けても問題はないだろう。
P177:YGの解説書は、データの捏造、論理のすり替え、ウソのオンパレードだ。
内田クレペリン検査
P194:現代精神医学のDSM-?という診断基準はエミール・クレペリンの仕事の延長線上にある。
内田勇三郎は「作業障害」に悩んでいたので、連続加算作業の「作業障害」に強く惹かれた。その「作業障害」のために、定職に着くのが困難だった。
P206:「アイゼンクの性格理論」、「レモン・ジュース・エクスペリメント」
「条件性静止」、「ブロッキング現象=不随意的休止期」
P208:つまり、内田クレペリン検査の激しい動揺は、外向性性格者特有のブロッキング現象である。ブロッキング現象は情緒不安定な性格から来たものではない。外向性次元と情緒安定性次元は性格の基本的特性であるが、二つの次元は独立で、無関係である。(シュピールマン、1963)
P214:内田クレペリン検査を何度も受けると、どんどん正常者がいなくなり、最終的には1割から2割になってしまう。・・・練習すると作業量が上昇する。すると、変動量も大きくなり、準定型や非定型と判定されてしまう。真面目に練習すると馬鹿を見る検査である。
P215:内田クレペリン検査と東大式性格検査TPIという質問紙法を同時に実施した結果は、定型パタンも非定型パタンも平均的な正常者ではない。
(仕事の能力は測れるか)
P222:賢くなるためには、わからない本を読まないといけない。わからない本はゆっくり読まないといけない。賢くなるためには、速読の出番はない。
コンピテンシー