目からウロコの化学物質30話  -安全?危険?リスクの真相

目からウロコの化学物質30話 -安全?危険?リスクの真相

目からウロコの化学物質30話 坂口正之
・パイナップル缶詰は加熱され、プロテアーゼが壊れて(失活して)いるから口の中が爛れることはない。
・生パイナップルをゼリーに入れると蛋白質であるゼラチンが分解されるので、ゼリーはパイ缶に限る。一方、寒天は多糖類であるからプロテアーゼでは分解されない。
リスク=ハザード(毒性)×暴露量(摂取量)
P24:2004年6月、「発酵アルコール」中に「1,4-ジオキサン」が含有されていたため、製品が出荷停止になったと新聞報道された。これは「グループ1=発がん性物質」のなかに「グループ2B=発がん性の可能性がある物質」が含有しているという状態。
P26:国際がん研究機関(IARC)でグループ1(ヒトに対して発癌性がある)と評価されているのは「アルコール飲料」であって、アルコール(エタノール)自身ではない。エタノール自身はグループ1とは評価されていない。
P33:唯一の「グループ4=おそらく発癌性が無い」は「ε−カプロラクタム」でこれはナイロン原料。「お茶=グループ3」、「コーヒー=グループ2B」
P35:発がん性評価は最後は投票による。
P38:グループ1に「木のほこり」−柔らかい松などは危険は少ないが、ブナや樫の硬い木材は鼻腔癌の原因になる。製材加工の工程で木材粉塵に長期間暴露した場合にはしばしば癌になる。グループ1には業として「家具製造業」も入っている。 ・・・木材粉塵に含まれる天然由来の芳香族成分に因る?
P40:動物試験用の床敷チップには松材(ホワイトパイン)等を使い、更に、それを加熱して発がん性に寄与すると考えられる芳香族成分などの揮発性有機成分を飛ばし、その濃度を減らしてから利用している。
P41:衣類防虫剤に天然樟脳がつかわれていた戦前には、幼児が誤食し死亡する事故が度々あったが、戦後、防虫剤が化学合成された1,4-ジクロロベンゼンが主体になると誤食による死亡事故は皆無になった。
P46:「煤」は多環芳香族化合物ベンゾピレン等)、「魚肉の焦げ」はヘテロサイクリックアミン
P55:「用量反応関係線」、「無影響量>影響量>中毒量>死亡量」
P59:「中毒」領域において優れた麻酔とは用量反応関係線の傾きが緩やかな麻酔。
P66:河豚の毒は肝臓や卵巣以外の体全体にあるが、筋肉部分(ふぐ刺し)は閾値以内なだけであってゼロリスクではない。
P73:アボガドロ数を考えれば、何に対してもゼロ暴露というものはあり得ない。
P76:海藻(紅藻)の中には含有するハロゲン元素(ヨウ素)と海水中の塩素を化合させて有機塩素化合物をつくるのがいる。
P82:「廃油石鹸」
P88:平成16年に1666件の食中毒の内、化学物質によるものは12件-0.7%、天然毒151件-9.1%、その他・不明4.4%、細菌・ウイルス85.8%
P89:燻製はホルムアルデヒド(=グループ1)で防腐
P92:BHA(ブチルヒドロキシアニソール)−「ハザード(毒性)が明らかになった物質はより安全だ!」−昭和58年8月2日と3日サンケイ新聞にBHA使用禁止を回避した経緯が掲載。・・・国内の消費者団体には外圧と非難される。
P94:BHAの発がん性はイニシエーション作用ではなく、プロモーション作用。
P99:日本植物防疫協会1992年実施の「無農薬」による収穫率はイネ=72.5%、トマト=60.9%、キュウリ=39.3%、キャベツ=36.8%、リンゴ=3%、モモ=0%
P104:「ポジティブリスト制度」−中国産キクラゲから検出された0.02PPMの「フェンプロパトリン」は、国内の果物には5PPMの残留基準値。
P122:L−グルタミン酸ナトリウムの「アクリロニトリルからの合成法」
P128:ナタデココは酢酸菌が作るセルロースなので、醸造酢を作る際に出来てしまうこともあったが、捨てられていた。
P139:天然か人工の違いは人が意図的に化学反応を起こさせているか否かの違いになる。→「ご飯は人工物である!」
P151:「血液脳関門
P154:「無水酢酸」
P158:水銀中毒患者の体内水銀濃度は、毛髪中では血液中の200倍以上に
P159:海水中の砒素3PPMを5万倍程度濃縮し、昆布中の濃度は150PPMになる。この有機砒素化合物は消化されずに排出されるので毒性がとても弱い。
P160:ヒジキは昆布と違って無機の形態で砒素を溜め込むので、毎日4.7グラム(一週33グラム)を食べ続けるとWHOが定めた無機砒素化合物の暫定的耐用週間摂取量(PTWI)を超える。
P163:「経口発癌スロープファクター」「発癌ユニットリスク」
P172:「リスクは時間の積分値」と書いたが、正確には「リスクはハザード(毒性)×暴露量(摂取量)の時間軸に対する積分値」ではないか思っている。
P176:全人類を60億人とすれば、「海水」は約400億回も全人類を殺すことが可能なのである。
P178:包丁の切れ味(ハザード)は「まな板の上」であろうが「満員電車の中」であろうが同じである。この「まな板の上」と「満員電車の中」の違いが、化学物質については暴露(摂取)の違いになる。・・・ところが、化学物質についてはサルになりたがる人がいる。なぜか、化学物質を排除しようとする人たちである。
P184:目から鱗が落ちる