ネット評判社会 (NTT出版ライブラリーレゾナント057)

ネット評判社会 (NTT出版ライブラリーレゾナント057)

ネット評判社会 山岸俊男・吉開範章
P22:信頼の「関係拡張機能」は、集団主義的秩序が維持されている状況では殆ど意味を持たない。
P24:「世界価値観調査」
P29:社会の問題を人々の倫理観の欠如に結びつけ、問題解決を倫理観の再生に求める考え方の背後には、社会制度の基盤を抜きにして特定の倫理が維持されることはないという基本的な理解が欠けている。
P42:マグリブ商人の「エージェント問題」−アブナー・グライフ
P44:江戸時代に「商法」は存在せず、「お上」は商取引に関する紛争には不介入だったので、「株仲間」による集団主義的な秩序形成よって信頼を創出した。
P46:水野忠邦の株仲間禁止令で日本国内の物流が一斉に止まり、大不況が起こる。
P50:「予言の自己実現
P54:「取引費用」対「機会費用」・・・法制度が整備されると株仲間は消滅し、マグレブ商人はジェノヴァ商人との競争に敗れて、地中海貿易の覇権を手放す。
第3章 実験研究からの教訓
P60:ネットオークションに限定すると、2006年1月〜9月までのオークション取引総額5104億円に対して、詐欺被害者に支払った補償金は4億4400万円
P66:マグレブ商人の様な閉ざされた集団ではネガティブ評判が有効に機能する筈。・・・対してポジティブン評判システムの下では評判に価値が生じる。
P78:評判情報が個人の直接経験と同程度の効果を、不正な取引の抑止に対して持つ。
P89:落札時間をランダムに設定する
P101:評判の「追い出し」と「呼び込み」
P111:メタ評価 ピアレヴュー
P123:「協調フィルタリング
P130:評判の操作に対して、参加者のハンドルネームを相手ごとにスクランブルする。
P132:ビックレー方式
P138:「サイバー・カスケード
P162:図5-1 信頼の国際比較−この社会の殆どの人は信頼できる(に同意する)
中国79、スェーデン78、カナダ71、日本43、ペルー28、クウェート27、ケニア25
P170:安心社会では信頼が生まれにくい
P180:信頼ゲーム 信仰ゲーム
P183:(日本人は)自分が相手を信頼していることを相手に伝えることが大切だと思っていなかった。
P193:騙される側がどれだけ偽者を見破る能力を持っているかが、詐欺師の運命を決める。
P201:作り笑いには不随意筋=眼輪筋の動きが伴わない。
P205:「完全暴露原理」:評判システムに「自発的」に加入するよう「強制」される。・・・企業は高い評判値を使ってプレミアム価格を設定できるため、評判値を高める行動を一種の投資行動と看做すようになる。
P210:カバマダラ(利用者)とメスアカムラサキ(詐欺師)と鳥(評判システム提供業者)の間の進化的均衡が何処に落ち着くかは、夫々にとっての対応行動のコストと利益の大きさに依存している。