人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)

人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)

人は放射線になぜ弱いか 近藤宗平
P46:(広島・長崎の空中爆発と違い)地上爆発は、大地を削って吹き上げ、放射性物質で汚染した固形粒子が上空に吹き上げられ、風によって広域に撒き散らされる(ビキニ環礁死の灰
P58:発ガンの危険率には、”安全量”はないとする「直線閾値なし仮説」に基づく放射線管理の法律は、1958年の国連科学委員会で遺伝学者が主張したもので、医学者の反対を押し切って、国際的合意として採用された。
P68:150ラド以下だと白内障はおこらない
P69:染色体の交換型異常(相互転座)は半永久的に残る
P77:白血病の発病率はチェルノブイル事故前と同じで、上昇しなかった。・・・原爆放射線のデータは、10ラド以下になれば放射線癌のリスクは存在しない。
P78:「重い精神発達の遅れ」の発病率は、「妊娠8-15週齢」でも、20ラド以下は無害。
P80:先天性異常の95%は、非遺伝性の異常である。・・・つまり、奇形の大部分は、子孫には伝わらない。
P82:中国では、(遺伝子座の)優性を顕性、劣性を潜性と適訳である。
P87:J・V・ニール:被ばく二世の追跡調査から「放射線の遺伝的影響は心配無用」である
P88:表?−5
P101:放射線作用の毒性の主役は、水酸遊離基
P140:DMBAとクロトン油:癌化の始発因子(イニシエータ)、促進因子(プロモータ)
P147:ヘテロ接合喪失:悪性腫瘍の多くは、P53変異のヘテロ接合型でなくて、正常P53遺伝子も変異した型(ホモ接合体)か、正常P53遺伝子欠損(染色体欠損)が多い。
P155:ヒトの場合は、受精卵の50%は胎児に発達することが出来ないで、胚の発達の途中で死亡する。
P156:P53(+/+)マウスの胎仔は、放射線に弱くてよく死ぬが、死んでしまうために、生き残りには放射線障害は発生しない。P53(-/-)マウスの胎仔は、放射線に強いため、不良細胞が生き残り、生まれた仔は殆ど全てが発生異常を持っていた。
P157:細胞の壊死=膨張して破裂、アポトーシス=萎縮・断片化、内容物は放出されない
単眼児や無脳症など重症奇形の親は真実を知らずに幸せに暮らしている−名取春彦『インフォームド・コンセントは患者を救わない』
P161:DNA二本鎖切断は1個でも未修復のまま露出するとP53タンパク質(四量体)が認識し、その信号が未確認のタンパク質に伝達され、その増幅された自爆信号がミトコンドリアの膜に伝達され、チトクロムCのダムの関門が開く。
P165:総被曝線量が20ラドまでは危険はゼロ、皮膚の局所被ばくの場合は、毎週150ラドを生涯被曝しても発癌頻度はゼロ、安全な総被曝量桁違いに大きい。放射線による発癌誘発の危険は標的組織と被曝部位の大きさに大きく依存する。
P173:創傷治療誤り模型は放射線発癌には、閾値があることを予言する。放射線による組織創傷は確率的影響ではなくて確定的影響であるからである。
P198:表?−1−ピリミジン二量体を24時間にヒト細胞は60%除去する。マウス・サル・亀・ニジマスは5%
P207:ホルミシス効果
P215:チェルノブイリ放射能恐怖症のあまり堕胎した母親は、全欧州で10万人以上
P218:人体内の放射性カリウムは約3000ベクレル
P224:高自然放射能地区:広東省陽江県東岸れい(山+令)区、広東省陽江県桐油区
P238:アルファ線などをガンマ線より20倍も毒性が強いと仮定した人工的単位シーベルトは有害無益な非科学的単位である。
P241:自然放射線の100倍くらいまでの低線量率なら、生涯浴びても無害といえそうである。
P242:NHK-1998年4月『埋葬される村々』
P247:ベラルーシでは甲状腺腫の発病率が事故から4,5年後に急に増えて、最近では事故前の22-33倍に、米国でも、甲状腺結節のスクリーニング検診の結果、検診実施前の21倍になった。甲状腺腫瘍の検診熱が当該地域の人達に高まった結果に基づく発病率の増加である。
P250:−我々は、放射線のリスクに対して直線閾値無し仮説に固着している。自然放射線の1%でも規制が必要になっている。実際に、自然放射線の5%に満たないレベルの放射性廃棄物の処理に毎年50億ドルの支出をしている。−上院議員P・V・ドメニチ
「リン酸ガラス線量計
P253:P53は心配などでストレスが溜まると狂いがでて、まともに動かないどころか、良品細胞まで自爆させて病気を重くする。
http://www.asks.jp/community/nebula3/2011/05/16/

「燃料電池」のキホン (イチバンやさしい理工系)

「燃料電池」のキホン (イチバンやさしい理工系)

燃料電池のキホン 本間琢也 上松宏吉
P14:高温ガス炉(原子力)から水素生成
P16:固体高分子形燃料電池は80度で発電効率35%
カルノーサイクル効率による制約が無い
P22:理論発電効率=ギブズの自由エネルギー÷エンタルピー
発電効率は生成物が水=高位発熱量基準で83%、水蒸気=低位発熱量基準で94%、水の蒸発(凝縮)潜熱を含めるかどうかの違い
P24:抵抗分極 活性化分極 拡散分極
P28:空気極における3相界面:ガス 電子 イオン
P30:固体酸化物形燃料電池
P34:メタン1モルから水素4モルと炭酸ガス1モルが発生する。
水蒸気改質:脱硫器(硫黄系の付臭剤除去)→改質器(メタン+水→一酸化炭素+水素)→シフト反応器(一酸化炭素+水→二酸化炭素+水素)
P36:「エネファーム
P48:高温型燃料電池ではニッケルなどのありふれた電気触媒で十分な性能が得られる。排熱を改質の熱源として利用できる。
P53:固体酸化物形燃料電池:セラミックスは弾性や塑性が無く、熱応力による割れを避けるのが困難
P62:ヒドラジン燃料電池
P66:二次電池の「活物質」−正極に酸化剤、負極に還元剤
P78:二次電池の評価指標はエネルギー密度
P82:実電池におけるエネルギ−密度は理論値の半分以下
P90:リチウムイオン電池:ロッキングチェア型またはシーソー電池と呼ばれる。リチウムイオンが正極と負極の間を往復するので、活物質には大きな変化が無い。
P94:ナトリウム硫黄電池 金属空気電池 レドックスフロー電池
P98:放電と充電では化学反応が逆に進む・・・充電とは放電によって失われた活物質を元に戻すこと
P100:家庭用燃料電池の普及推進はガス・石油の燃料供給業者が抱いた電力(ヒートポンプ)に対するP危機感が根底にある。
P119:パーフルオカーボンスルホン酸
P124:固体酸化物形燃料電池の運転モードは夜間でも停止しない。
P132:高圧水素吸蔵システム:高圧では理想気体の法則が成り立たず、350から700気圧にしても貯蔵量は1.6倍にしかならない。・・・350気圧以上高圧水素を蓄える容器には、薄肉アルミ合金ライナー容器の周囲をガラス繊維や炭素繊維を巻いたのもある。
「ボイルオフ」
P145:井戸元からタンク タンクから車輪 井戸元から車輪(総合効率)
二酸化炭素排出量(総合効率)はEV(電力)車49g/km FCV(水素)車58.2g/km
P144:水素は換気さえできればガソリン・プロパンよりも安全
P168:ナトリウムボロハイドライド(水素化ホウ素ナトリウム)
P171:駆動時間が長い場合は、二次電池より(モバイル用メタノール燃料電池の方がコンパクトになる。
P172:引火点12℃のメタノール燃料は航空機内に持ち込めない 8-20g飲用すると失明、30-50gで死亡すると云われている
P185:メタン発酵:有機物→加水分解菌→酸生成細菌→メタン生成細菌
P187:メタン発酵による「バイオガス」の内、特に下水汚泥を原料とする場合は「消化ガス」と呼ばれる。
P190:石炭ガス化燃料電池発電
P193:現在は二酸化炭素の「削減」であるが、いずれ「回収」が必要な時が来る。

脱「ひとり勝ち」文明論

脱「ひとり勝ち」文明論

脱「ひとり勝ち」文明論 清水浩
P28:「革命は、だいたい、二回行なわれることで、地に足が着いたものになる」
P75:インホイールモータ
P84:ハイブリッド車は「モーターでアシストを加えている、エンジンのクルマ」
P88:赤色に近い光だけが有効に使えるので太陽電池の効率は15%
P89:「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」
P100:春秋の余剰電を使い「アルミの押し出し成形材」で住宅を作れる
P133:リチウムイオン電池の吉野彰 ネオジウム−鉄磁石の佐川眞人
P158:商品の普及は、製造するほうではなくて、使用するほうが決定している。
P166:バリューチェーン

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

リスクにあなたは騙される「恐怖を操る論理」 ダン・ガードナー
P25:リスクは儲かる
P82:想像するのが容易であれば、「腹」の評価は上がる
P90:・・・「腹」は見ているが「頭」は眠っているのである。
P93:カナリア諸島ラ・パルマ島に亀裂があり、ここから巨大な塊が海洋に崩落すると北米と南米の東海岸を巨大津波が襲う。
P96:300メートル級小惑星の地球衝突する確立は毎年5万分の一、30メール級の隕石落下は今後100年で2.5分の一
P97:低頻度大規模災害への対処は「費用による」
P103:目新しさと馴染みの無さ−驚き−が他の何よりも関心を捉える
P108:「大惨事の、不本意な、不公平な」−「恐怖要因」
P116:意識は自分が全く知らないことを認めるのを嫌う。
「単純接触効果=馴染みは愛好きを生む」
P118:英国政府は、クリスマス休暇中に、住宅火災で死ぬ確率が50%上がると広報活動を行なっている。米国では、国土安全保障省次官が蝋燭によって起きる火事は「クリスマス休暇中4倍に増える」と警告した。
P121:ラドンによって米国と欧州連合で年に推定41000人が死亡している。
P122:赤身75%と脂身25%の牛肉
P128:「確率盲目」
「裕福である方が健康である」
P130:単に「事実を明るみに出す」ことによってリスクにまつわる不安を和らげることができると専門家が考えるのは、間違っている。・・・殆どの人は「頭」が介入して「腹」を修正するために必要な努力をすることに慣れていない。
第5章 数に関する話
P134:日本の娼婦がシリコンと豊胸を結びつけた最初の女性である。
P142:豊胸材についての疫学的研究は全く行なわれずに禁止された。・・・情熱と痛みは理性の代わりにはならないし、理性は証拠はないと言っていた。逸話はデータではない。・・・逸話は何も証明しない。
P144:一人の顔の見える人物を助ける為に訴える方が、困窮する多数の人に言及するよりずっと説得力がある。「大衆を見ても、決して私は行動を起こさないだろう・・・一人をみれば、私は行動を起こすだろう」マザー・テレサ
P146:比率が、単なる数より思考に強い影響を与える・・・150人の98%が助かると期待できると言われたときの方が、150人の命が助かると言われたときよりずっと強い支持が得られた。「150人の命の85%」が助かるでさえ、150人の命が助かるより大きな支持を得た。・・・私たちは、150人の命は感じない、しかし「比率」を感じることができる。従って、150人の「95%」が助かる方が、150人の命が助かるより説得力があると思う。
P147:「平均への回帰」→「批判は成績を上げ、賞賛は成績を下げる」
P150:バスケットボールの「ホット・ハンド」
P151:専門家が今年の洪水は「世紀の洪水」つまり、100年1回起きると予想されるほど大きかったと言うとき、「腹」は、同じ大きさの新たな洪水は何十年も起きないことを意味しているのだと受け取る。「頭」は少し努力すれば理解できるが、「腹」には理解できない。
P155:1994年6月シリコン豊胸材と結合組織の病気に関係は無かった。2006年6月ダウ・コーニング社9年間の破産状態から抜け出し・・・2006年11月、FDAはシリコン豊胸材を解禁した。
第6章 群れは危険を察知する
P168:「高い重要性」であるとき、同調する率は上昇した。・・・この条件下で、人は集団の見解に最も従い易く、そうすることが正しいと確信を抱く。
P170:・・・殆どの人は反証しようとはせず、逆のことをする。つまり、規則に合う例を探すことによって規則を確認しようとする。それは役に立たない戦略である。どれだけ多くの例が積みあがっても、正しいことを証明することはできない。
P172:心に強く抱いている見解に反する情報を処理するとき、中立的あるいは肯定的情報を処理するときとは「異なる脳の部分」を使っていた。確証バイアスは脳に実際に組み込まれているようなのだ。
P184:4つの世界観−個人主義者、平等主義者、階層主義者、共産社会主義者
第7章 恐怖株式会社
P191:タイコ・ファイヤー・セキュリティーは従業員9万人で年間売り上げ15億ドル、セキュリタスABの従業員23万人以上で30カ国で営業、グループ4セキュリティー110カ国に40万人の従業員がいる。
P200:ロトロネクス
P206:「・・・タバコ会社のコンサルタントが行なっていた研究報告していた結果は、情動の重要性の認識において認知心理学者や社会心理学者の多くの20年先を行なっていた。「腹」思考の概念と肯定的感情が結びついたイメージの重要性が基本的に良く理解されていた。」ポール・スロヴィック
・・・「科学者は「広告主や中古車のセールスマン」に追いつこうとしているだけだ。」エーモス・トヴェルスキー
P222:太陽光への暴露と皮膚癌=メラノーマ
P223:感染症の減少で車の衝突事故が子供の死因の上位に躍り出た。
P229:「可能性が非常に高い」=事実である確率「95%」、「可能性がある」は66%以上の意味で使われる。
P232:記者は記事の元になっている研究報告を読まない。プレスリリースが記事の根拠であり、研究報告ではない。
第8章 活字にするにふさわしい恐怖
P245:西ナイル熱ウィルスの死者は米国(3億人)で2001年までに18人、2003年に875人の米国人が食事中に植物を喉に詰まらせて死んでいる。
P246:「分母盲目」:分母が見えないと言うことは真のリスクが見えないことを意味する。
P248:メディアは日常的に総体リスクだけを読者に与える。そして、このことが極端な誤解を招くことがある。
P256:BBCニュースの「ニュース一件当たりの死者数」喫煙8571人、狂牛病0.33人
P259:2007年4月「アラバマ自由民兵団」
P264:「リスクが無いことを明らかにしている研究より、否定的な結果を出している研究の方をより強く信用する」
第9章 犯罪と認識
P281:米国で見知らぬ者に誘拐された14歳以下の子供は年間90人で90/5900万人=0.00015%、2003年にプールで溺れた14歳以下の子は285人で2.5倍、車の衝突事故死は2408人で26倍
P307:ウィリー・ホートンの犯罪に政治的価値を最初に見つけて、デュカキスに対して用いたのはアル・ゴア
P327:ロンドンの「巡回裁判」記録から1278年の殺人発生率は人口10万人当り15件、現在の11倍
P328:ローレンス・キーリー『文明化以前の戦い−平和な未開人という神話』
カラハリ砂漠のクン族の殺人発生率は1950年と1960年代の主要工業国の20倍から80倍
コッパー・イヌイットの15家族からなる孤立した集団が20世紀初頭に外部と接触したとき「成人男性の全て殺人に関与していた」
第10章 恐怖の化学
P333:「化学物質」の文化的再定義こそ、有機農産物を隙間産業から数十億規模の産業へと変貌させたものであり、「天然」のと言う言葉が、何を売るかに関係なく、企業のマーケティング担当者が好む形容詞になった。
P336:ジョアンナ・バーグ『恐怖−その文化史』
P338:カーソンは『沈黙の春』の中に喫煙に関することを一言も書かなかった。
P341:無数の植物が、昆虫やその他の捕食者に対する防御手段として発癌性化学物質を生産している。そのため、植物は天然の発癌物質に満ちている。・・・ブルース・エイムズ「一般人が口にする食事由来の殺虫剤のうち、99.99%は天然のものである・・・環境中の汚染物質により引き起こされると考えられている2%の癌の内、合成化学物質が原因となっているのは僅かな部分だけである可能性が高い。1%よりずっと小さい」
ガンの原因では喫煙、飲酒、食事、肥満、運動が65%
P347:ロイス・スワーキー・ゴールド「試験したものの半数は大量投与試験において発癌物質である・・・残留殺虫剤の場合、(体内で見つかる)量は発癌性試験で鼠に投与した量より10万倍か100万倍あるいはそれ以上少ない」
P364:調べられている天然の化学物質の中で、半数が癌を引き起こすと示されている。安全性が証明されるまで使用を禁止するという取り組みを化学物質に対して厳密に適用するとしたら、食べるものは殆ど残らないだろう。
P366:DDT耐性の蚊は1951年に登場している。
P367:キャス・サンスタイン「リスクを冒すのが嫌いと言われている多くの人は、特定のリスクを冒すのが嫌いなのであって、リスク全般を冒すのが嫌いなわけではない・・・人間と文化、国家は、しばしば、一つあるいは数個の社会的リスクを『顕著な』ものとして選び、他のリスクを無視する」
第11章 テロに脅えて
P380:テロが最も多かったのは1991年で、ソ連邦の崩壊後テロは減少する。
P387:一時期、オウム真理教生物兵器の研究者を20人、化学兵器の研究に80人を抱えていた。・・・最も恐れられているバイオテロ兵器の二つを用いて大量死をもたらす試みを合計9回行なったが、一人も殺せなかった。そういう訳でオウム真理教化学兵器神経ガスに重点を移した。
P402:左派では予防原則が尊重されている。
第12章 結論−今ほど良い時代は無い
P443:ロバート・フォーゲル「現在大学へ通う年齢の学生の半数が100歳まで生きる」
P452:「後知恵バイアス」−不確かさは歴史から除かれる。過去に起こったことを実際に知っているだけでなく、「起き易かった」と感じる。更に重要なのは、「予測可能」だったと考えることだ。要するに最初から知っていたと考える。

日本海海戦とメディア 秋山真之神話批判 木村勲
P29:「大転舵」 風下位置が砲術の常識とされていた。
P35:戦時の艦隊行動は旗艦のマストに掲げられる信号旗を後続艦が次々後送りすることで成り立つ。
P39:砲内爆発は被弾とカウントされた。・・・(砲の冷却時間の必要から)この海戦における日・露双方の巨大砲弾の発射数は少なく、日本側12インチ砲計16門の総発射弾数は452発で、各艦平均28発に過ぎない。
P47:石炭の安定供給が出来ないため過重積載になっており、これが喫水線を深め波高のため砲に海水を浴び機能不全を起こしたのがハンディとなった。・・・日本の戦艦・装甲巡洋艦14隻中、英国製10、イタリア2、仏1、独1で全て外国産、・・・国産は3000トンクラスの巡洋艦がやっと。他方バルチック艦隊は戦艦・装甲巡洋艦11隻全て国産。砲弾は「下瀬火薬」と「伊集院信管」が優れていた。
第二章 軍神の誕生
P52:従軍記者は日本陸軍は外国人を含めて認めたが、海軍は一切認めなかった(外国人観戦武官は少数いた)
P71:「露探」、二六新報の社主で衆議院議員秋山定輔がこの嫌疑にかけられ証拠無しに議員辞職に追い込まれる。言葉が人間の社会的生命を失わせる力を持つようになった。
P72:「軍神」の発信源である「永田電」を掲載したのは東京朝日、都、毎日の三紙に過ぎず、とりわけ朝日の扱いが突出していた。全体としては「故広瀬中佐」が明らかに多数派であり、・・・しかし次第に「朝日用語」に巻き込まれ、・・・朝日はこの戦役を通じて大きく部数を伸ばし、東京の大大衆紙である二六新報や万朝報を追い抜いて行く
P72:永田電の筆者は秋山、軍神の創造者は秋山
P74:「幽霊見出し」
P76:・・・東郷戦報が作戦の未達成あるいは失敗を明かしているのに対して、新聞が戦果を派手に報ずるという傾向がここでもはっきりする。
P80:戦艦八島の触雷沈没は報道禁止
P100:「戦報」も八島沈没以前は総じて正直・素朴であった。
P117:連携水雷:長いロープに100メートル間隔にブイを設置し、その下7メートル程に水雷を吊るす。
P154:第二戦隊「独断専行」
P160:下瀬火薬は巨大な火炎瓶、艦上の構造物を炎上させ人員を殺傷したが、装甲の貫通力は弱く、艦船撃沈の致命傷とはならなかった。
P178:「勝戦の大原因として数ふべきは東郷大将の果敢なる転舵によって同航戦を強ひたるに始まり、上村大将が独断を以て其針路を転じ何人予想せざる如き二千メートル内外の近距離に迫って敵の進路を圧したによって定まった事と思ふのである」佐藤鉄太郎・・・「独断専行」は海戦後、撤回された秋山作戦のことと共に、言及するのはタブーとなった。
P186:当時の艦隊の基本隊形は一列縦陣が常識
P228:山本権兵衛「秋山の美文はよろしからず、広報の文章の眼目は実情をありのままに叙述するにある・・・美文はややもすれば事実を粉飾して真相を逸し、後世を惑わすことがある」
P233:情報参謀・小笠原長生作の史談の影響力−

ネット評判社会 (NTT出版ライブラリーレゾナント057)

ネット評判社会 (NTT出版ライブラリーレゾナント057)

ネット評判社会 山岸俊男・吉開範章
P22:信頼の「関係拡張機能」は、集団主義的秩序が維持されている状況では殆ど意味を持たない。
P24:「世界価値観調査」
P29:社会の問題を人々の倫理観の欠如に結びつけ、問題解決を倫理観の再生に求める考え方の背後には、社会制度の基盤を抜きにして特定の倫理が維持されることはないという基本的な理解が欠けている。
P42:マグリブ商人の「エージェント問題」−アブナー・グライフ
P44:江戸時代に「商法」は存在せず、「お上」は商取引に関する紛争には不介入だったので、「株仲間」による集団主義的な秩序形成よって信頼を創出した。
P46:水野忠邦の株仲間禁止令で日本国内の物流が一斉に止まり、大不況が起こる。
P50:「予言の自己実現
P54:「取引費用」対「機会費用」・・・法制度が整備されると株仲間は消滅し、マグレブ商人はジェノヴァ商人との競争に敗れて、地中海貿易の覇権を手放す。
第3章 実験研究からの教訓
P60:ネットオークションに限定すると、2006年1月〜9月までのオークション取引総額5104億円に対して、詐欺被害者に支払った補償金は4億4400万円
P66:マグレブ商人の様な閉ざされた集団ではネガティブ評判が有効に機能する筈。・・・対してポジティブン評判システムの下では評判に価値が生じる。
P78:評判情報が個人の直接経験と同程度の効果を、不正な取引の抑止に対して持つ。
P89:落札時間をランダムに設定する
P101:評判の「追い出し」と「呼び込み」
P111:メタ評価 ピアレヴュー
P123:「協調フィルタリング
P130:評判の操作に対して、参加者のハンドルネームを相手ごとにスクランブルする。
P132:ビックレー方式
P138:「サイバー・カスケード
P162:図5-1 信頼の国際比較−この社会の殆どの人は信頼できる(に同意する)
中国79、スェーデン78、カナダ71、日本43、ペルー28、クウェート27、ケニア25
P170:安心社会では信頼が生まれにくい
P180:信頼ゲーム 信仰ゲーム
P183:(日本人は)自分が相手を信頼していることを相手に伝えることが大切だと思っていなかった。
P193:騙される側がどれだけ偽者を見破る能力を持っているかが、詐欺師の運命を決める。
P201:作り笑いには不随意筋=眼輪筋の動きが伴わない。
P205:「完全暴露原理」:評判システムに「自発的」に加入するよう「強制」される。・・・企業は高い評判値を使ってプレミアム価格を設定できるため、評判値を高める行動を一種の投資行動と看做すようになる。
P210:カバマダラ(利用者)とメスアカムラサキ(詐欺師)と鳥(評判システム提供業者)の間の進化的均衡が何処に落ち着くかは、夫々にとっての対応行動のコストと利益の大きさに依存している。

宇宙を解く壮大な10の実験

宇宙を解く壮大な10の実験

宇宙を解く壮大な10の実験 アニル・アナンサスワーミー
P11:複数宇宙は[10^500]個
P33:ヘンリエッタ・スワン・リーヴィット
P62:ニュートラリーノもWIMPの一種
P65:「地球から太陽まで、鉛を積み重ねて、WIMPを鉛の端で発射したら、積み重ねた鉛と相互作用しないで抜けてしまう可能性が五分五分」、一つで100ギガ電子ボルトを持つWIMPが毎秒40億個ほど、CDMS検出装置を通っている筈
P66:鉛210が崩壊した鉛を8世紀の沈没船から回収したフランスの会社から購入。
P83:光子は太陽の中心から外に這い出すのに何千年とかかる。
P94:浮をロスしてバイカル湖に沈んだPMTを連ねた索の捜索にロープを付けたプロペラを落とす。
P102:バイカル湖が透明なのは、甲殻類が生物死骸を速やかに処分するからで、酸素濃度が湖底で特に高い。
P111:アタカマ砂漠→標高の高い砂漠で海が逆転層を作る。
P122:2−
P146:1960年代ハワイ諸島を襲った津波からの経済復興の過程でマウナ・ケア天文台がある。商工会のミツオ・アキヤマは日米の研究機関に天文台誘致の便りを出すと、ジェラード・カイパーの眼に留まった。
P146:逆転層のお蔭で湿気や乱気流は上昇しない。
カール・ジャンスキー
P182:恒星日 太陽日
P186: ゴヴィンド・スワラップのGMRT:網の面でも100メガ〜1.5ギガヘルツを充分に受ける。
P187:初期宇宙の水素原子が出す波長21センチ(1420MHz)の電波は、宇宙膨張で引き伸ばされる(赤方偏移を受ける)。これが地球に届く頃には、(GMRTが探知できるの範囲)メートル単位の波長になっている。
P199:宇宙空間の電子との相互作用で、低周波は高周波の波に比べて遅くなる。空間にある電子数を推定し、高周波成分と低周波成分の到着時間のズレを測定することによって、発信源を計算できる。
P233:反中性子=崩壊すると陽電子反陽子になる
P237:宇宙線が星間ガスに衝突して反陽子より重い反物質原子核を作る確率はゼロに近い。BESSが「反ヘリウム(二つの陽子がある原子核)」を観測したら反銀河からのもの。
アン・ダルヴェラ
P253:極地では飛行機のエンジンを切らない。
P263:ニュートリノが誘発するニューオンは宇宙線によるミューオンの10億分の一くらいの数しかない。
P268:熱水ドリル−2.45キロ下降するのに24時間、戻りに10時間、燃料は19キロリットル
P274:東南極氷床は海岸に向かって毎年9メートル滑る。
P288:陽子はLHCの27キロのトンネルを一秒間に11245週する。
P290:巨大なトンネルが地下に掘られるのは安全の為ではなく、地表の土地購入よりも掘った方が安いから
P314:超流動ヘリウムは粘度がゼロ
P323:Bモード偏光
P350:3500メートル級の高所に慣れるには、水を何リットルも飲んで、1日半眠る。
P353:星震学